Reporter:近藤スパ太郎
好きな食べ物:チーズ / プリン
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半信半疑で試した、グッドイヤーのオールシーズンタイヤ「Vector 4Seasons」(ベクターフォーシーズンズ(VEC4))が、雪がたまーにしか降らない、都内在住のボクの使い勝手にはピッタリでした! 1台目の「カローラ・スパシオ」、2台目の「カローラ・ルミオン」にも履いて、トータル9年目になりました!
■得意な路面
◎雪道
◎シャーベット状の道
◎豪雨
◎ちょっとした泥道
◎普通の舗装路
■ニガテな路面
×アイスバーン
×圧雪路
■タイヤノイズ
・たいして気にならない
■燃費
・ECOタイヤ比較しても大きく変わらない気が…
■こんな方にお薦め
・降雪が降っても年数回程度の地域の方
・アイスバーンの道は無理に走る必要のない方
・スタッドレスを買うか、買わないか迷っている方
・アウトドア好きな方
ボクは通勤でクルマを使わないし、しかも、ボクが住む東京都区内は雪が降っても数年に数回程度。 いや、むしろ全く積もらない年の方が多い。
それにマンション住まいなので、“スタッドレスタイヤ” に履き替えたら、外した夏タイヤの保管場所に困る…という問題が発生し、オマケに夏と冬で履き替える度に、交換作業料も発生してしまう。
そもそも “スタッドレスタイヤ” は、冷たい雪道でも性能を発揮できるように、夏タイヤよりも柔らかい素材で出来ているため、雪がない舗装路では「グニャっとした走行感」「走行ノイズが大きい」「燃費が悪い」「制動距離が伸びる」「ウエット路面で滑りやすい」「磨耗が早い」などの、舗装路でのデメリットや、ネガティブな要素もありますよね。
このような理由から、「都内は積もるかどうか微妙だし、スタッドレスに履き替える程のメリットはないかな…」というのが、ボク考えでした「雪が降ったら電車を使えばいいし、スキーに行くならチェーンを持って行けばいい」と、9年前までは、冬でも夏用タイヤを履いたままでした。
でも実際には、雪が降ったら公共交通機関はマヒするし、タクシーもなかなかつかまらないのが現実…。
トコロが9年前。
グッドイヤー広報の知人に、「ボクのスパシオは車高が高いし、足回りがフニャフニャで、ちょっと走りにくい時があるんですよ…」と話した事から、ボクはタイヤへの関心が深まったのです。
『良いタイヤに履き替えるだけでも、走りがだいぶ変わるよ! 』
「えっ、そうなんですか!?」
知人がお薦めする幾つかのタイヤの中に、聞いた事も無いオールシーズンタイヤ、その名も「Vector 4Seasons」(ベクターフォーシーズンズ)があったのです。
「これ、変わったトレッドパターンですね!」
『そうでしょ! これは今、ヨーロッパ市場でとても評価が高いタイヤでさ、雪でも走れるし、真夏の高速もOKなんだ!』
なんでもアウディの「A4」「A5」、フォルクスワーゲンの「GOLF」「Touran」、SUVの「Tiguan」など、ヨーロッパ市場での“標準装備タイヤ” として、自動車メーカーが採用していると言うのだ(9年前当時)。
『そうだよ! 滅多に雪が降らない都内住まいで、アウトドアも好きなスパちゃんには、このタイヤが一番イイかも?』
と薦められ、言われるがまま試してみたのです。
履き替えたのは6月で、スパシオのフニャフニャ感は、びっくりする程改善されて大満足。でも、このタイヤのホントの実力を知ったのは、都内に大雪が降った、翌年の2月でした。
「雪でも走れる…」とは言っても、正直なトコロ、全く期待はしていませんでした。 トコロが! 大雪の日に雪道を問題なく、ちゃんと走れてビックリ!
モチロン高速道路でも快適だし、大雨でも水ハケが良くて「ハイドロプレーニング現象」になりにくい。 雨でドロドロのキャンプ場や、砂地でもグリップが良い! 他のクルマがスタックしているのに、ウチのクルマはなんなく走ってしまう!
こんな風に、夏用タイヤとしても性能が高くて、雪道も走れてしまい、正しく「1年中道を選ばない ”オールシーズンタイヤ”」。
もっと早くから履いていれば良かった…。
2年ちょっと履いたスパシオから乗り換えた「カローラ―・ルミオン」には、買った時には新品のEcoタイヤが付いていたのですが、3ヵ月後には「Vector 4Seasons」に履き替え、その後もまた「Vector 4Seasons」に履き替えて、なんだかんだと愛用して9年目となった…というワケです。
でもね。 アイスバーンや、圧雪された坂道がニガテ だったりと、どんな道でも万能! …ではありません。
10年近く使って感じたコト、良い点・悪い点を、グッドイヤーには気を使わずに、ユーザー目線で包み隠さず、紹介したいと思います。
タイヤには、“標準タイヤ” としても採用される「夏用タイヤ」。“スタッドレスタイヤ” が代表する「冬用タイヤ」が有り、それぞれでタイヤの特性が違い、得意な路面コンディションが異なります。
オールシーズンタイヤはその中間的な存在で、スノータイヤマーク(雪・マディ(泥道)に強い)が有り、真夏の舗装路、高速道路でも安定した走行性能を持つ、その名の通りオールシーズン、全天候で性能を発揮するタイヤなのです。
因みに、20年ぐらい前のオールシーズンタイヤは、夏用としても冬用としても性能が中途半端で、日本ではとても不評だったそうです。あれから年月が経ち、グッドイヤーがこれまでとは全く違う、新しいオールシーズンタイヤを開発したのです。
グッドイヤーはアメリカのタイヤメーカーですが、「Vector 4Seasons」は、ヨーロッパで開発されました。 アウトバーンで国境を越え、長距離を移動すれば天候が急変したり、突然雪が降るコトだってある。天候や路面コンディションに左右されず、急な雪でも履き替えの必要がないタイヤ を目指して開発されたそうです。
その結果、アウディやフォルクスワーゲンで、ヨーロッパ市場向けの“標準タイヤ”として採用されました。つまり自動車メーカーが性能を認めた、お墨付きのタイヤ…ってワケです。
ボクが初めてスパシオに「Vector 4Seasons」を履いた2012年は、日本で販売していたのは、まだヨーロッパ製(スロバキア製)でした。 ルミオンに履いた2014年の時はドイツ製。
2016年の夏以降から日本市場用には日本製造となり、当時に「Vector 4Seasons Hybrid」という商品名に変更になりました。 名前は変わったけれど、性能はこれまでのヨーロッパ製とまったく同じだそうですヨ!
2018年の2月に、サイドウォールを傷つけてしまって履き替え、今ルミオンに履いているのは、日本製の「Vector 4Seasons Hybrid」です。
参考まで、グッドイヤーでは、2018年からSUV用のオールシーズンタイヤ、「Assurance WeatherReady(アシュアランス ウェザーレディー)が日本でも発売になっています。
■オールシーズン + マッド&スノー マーク
■欧州スノーフレークマーク
スノーフレークマークとは、国際標準規格の認定機関ASTMが極めて厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮することを認証し、欧州冬用タイヤとして公式に認証したマークです。日本でもチェーン規制時に走行可能な冬用タイヤ として認められています。
つまり「Vector 4Seasons」は、1年中履ける“スノータイヤ”ってワケなのです!
※2018年12月から規制対象道路で「チェーン装着」が発令された場合は、チェーン装着が義務化になりました。規制対象道路以外でも、道路管理者や地元警察による判断で「全車両チェーン装着規制」が発令された場合は、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤなどのスノータイヤであっても、チェーンを装着しないと通行できません。
福島裏磐梯のグランデコスキー場のパーキングを借り切っての「Vector 4Seasons」体験試乗会に、ボクのカローラ・ルミオンを特別に持ち込ませて頂いて走行しました。
タイヤは新品ではなく、1年ちょっと走っています。ここまで深い雪は初体験。それでも、しっかりグリップして問題なく走行る事に、ボクが一番驚きました!
いやいや。むしろフロントバンパーが雪をかき分けているので、「バンパーがキズ付かない?」 「底周りの部品が壊れない?」 っと、とても心配でした…。
特に、新雪ではグリップがとても良く、カーブや加速・ブレーキングの感覚は、オフロード走行に近い、ちょっと浮いたように走る感覚でした。
スキー場で問題ないのだから、都内の雪道でもモチロン大丈夫。雪道ならコーナーもブレーキも、想定内で車体のコントロールが出来ています。
都内は坂道が多いのですが、よっぽどの急坂で無い限り、”雪が積もっていれば” 登りも下りも、かなりグリップして走行します。この”雪が積もっているコト”が、雪道走行で大事なポイントでもあるのですが…。
溶けかかったシャーベット状の雪でも、全く問題なく走ります。
①アイスバーンでの発進(平な場所) ×××
アイスバーンの上で停止してしまうと、再発進が難しいです。特にアイスバーン箇所で「駆動輪」が停止しない配慮が必要です(ルミオンは前輪駆動(FF)なのでフロントタイヤが駆動輪)。
アイスバーンの路面でも停止はせずに、単に真っ直ぐに走るだけでしたら、惰性で走行できますが、「曲がる」「ブレーキを掛けて停止する」のは、かなり難しいです。まっ、これはスタッドレスタイヤでも同じですけどね…。
②圧雪でカチカチになった路面での発進 ××
圧雪されてカチカチになった路面も、アイスバーンと同じように滑ります。カチカチの圧雪路も、駆動輪が停止しない配慮が必要です。停止はせず、真っ直ぐに走るだけでしたら少しグリップして走行します。
③雪かきをしていない駐車場の出し入れ ××
実はボクの経験で、これまで一番立往生したのが、駐車場からの出し入れ。 野外の屋根の無い駐車場なので、雪が積もるとクルマも駐車場も雪だらけ。
まぁ、事前に雪かきをすれば問題ないのですが、雪かきをしないと、自分のタイヤで踏み固めてしまった雪が、圧雪路と同じような状態を作ってしまいます。
この写真は、駐車してから雪が降り始めたので、車体の下の「地面とタイヤの接触部分」には、まだ雪が有りません。こんなに積もっていても、駐車場から発進できます。
ですが雪が降る中で駐車場に戻る場合は、今度は駐車場にも雪が積もっています。一旦駐車して再度出発する時は、圧雪された路面状態での再出発になるので、タイヤが滑ります。
1回の操作で一気に道路に出られれば問題ありませんが、一度でも失敗してしまうと、雪はさらに踏み固められてタイヤはスリップ。雪かきをしないと再出発不可能になります。
④踏切手前の一時停止 △
踏切って、手前が登り坂になっている所が多いですよね。 スタッドレスを履いているのに、踏切の手前や中で、走行不能になったクルマを 何度か救助した経験があります。
スタッドレスでもニガテな場所なのだから、ボクは踏切の一時停止を坂のかなり手前で行い、安全確認後に助走をつけて坂を登り踏切を通過します。 走行にかなり気を使っているせいもあってか、ボク自身が走行不能になった事は、まだ有りません。
①アイスバーン・圧雪路の坂道(登り) ×××
ママチャリで立ち漕ぎをしても登れないような、「急な坂道のアイスバーンや圧雪路は、登れない」と思った方が良いです。
アイスバーンや圧雪路の坂道で停止してしまうと、再スタートはほぼ無理です。グリップする場所まで下がる必要があります。
まぁ、こんな道はスタッドレスタイヤでも、とてもキケンですが…。
余談ですが、グッドイヤーが主催した、スキー場駐車場での試乗体験会では、「Vector 4Seasons」を履いた電子式制御式トラクションコントロールシステムを搭載したプリウスが試乗車に用意されました。
このプリウスは、アイスバーンになった登り坂道で停止をしても、再発進するコトが出来ました! 電子式制御の技術、スゴイね。 電子式制御もなにも無い、ボクのルミオンでは再発進は無理でした…!
②アイスバーン・圧雪路の下りのカーブ ×××
下りでも直線なら走れます。下るだけならね。でもカーブ手前でブレーキを踏むと、スリップしてコントロールが効かなくなり、とても怖いです。
エンジンブレーキでコントロールできる坂なら良いですが、エンジンブレーキが効かない急な下り坂はとてもキケンです。こういう坂に限って、カーブ手前は、他の走行車両のブレーキ跡でアイスバーンになっていたりしますしね。
モチロンこんな道は、スタッドレスタイヤでも滑ります。電子式制御式トラコンを搭載したプリウスでも、コントロールを失い向きが変わってしまうコトもありました。
アイスバーンの下りに出くわしてしまったら、走行ラインを変え、雪が積もっている走行ラインや、小砂利が浮いているラインを選べば、「Vector 4Seasons」でもグリップします。
何度も言うようですが、「Vector 4Seasons」はアイスバーン・圧雪路の坂道は危ない、走行できないと思った方が良いです。それでもボクは「Vector 4Seasons」で十分に満足しています。
スタッドレスと比べてしまうと、コーナリング時に走行ラインが少し膨らみますが、雪道では、コーナーの手前で十分に減速してからINするのが鉄則…なのと、速く走る必要は全くないので、「Vector 4Seasons」で十分じゃないかと思います。
なによりも、1年中履きっぱなしでOKなうえに、急な降雪時の安心感がある事が、なにより良いです。
ボクはこれまで都内の降雪時に、オーバーパス、アンダーパスを走行出来なかった経験は今の所ありませんし、もし凍結していれば迂回すれば解決できます。
むしろ都内の場合、交通量の多い幹線道路よりも、交通量の少ない住宅街の道の方がアイスバーンは多いです。デコボコアイスバーン走行中は、タイヤがズルっとして走行ラインが少しズレますが、まぁ想定内の範囲です。それに都内のアイスバーンって延々に続いているワケではないですしね。
降雪地域に行く場合は、ボクは安心への保険として、タイヤチェーンをクルマに積んでいます。「Vector 4Seasons」はスノーマークがあるので、スノータイヤ規制でもそのまま走行できますが、「全車両チェーン装着規制」が発令された場合は、スタッドレスでも、「Vector 4Seasons」でもチェーン装着が必要です。
ねっ!?
こう考えたら、冬の時期の殆どが「雪が無い道路を走るボクの冬の使い勝手」では、「Vector 4Seasons」で十分でしょ!?
※あくまでもスパ太郎個人の感想です。雪道走行は慣れや経験値によっても大きく違います。走りを保証するものでは有りません。
〇 大雨でも水ハケが良い
水ハケが良いトレッドパターンなので、豪雨の高速道路でも安心して走行できます!
ゲリラ豪雨の高速道路でも、ハイドロプレーニング現状になりにくい!
〇 タイヤノイズは気にならない
Ecoタイヤから履き替えた瞬間だけ、「ん? タイヤノイズが大きくなったか?」とボクは感じましたが、妻や娘は全く分からなかったみたいです。ボクも30分ぐらい走ると全く気にならなくなりました。そんな程度です。
ミニバン専用タイヤから「Vector 4Seasons」を初めて履いた夏に、東京-岩手の七時雨高原まで、片道600km強を走りましたが、タイヤノイズは殆ど気になりませんでした。
写真のスパシオは、ミニバン専用タイヤから履き替えた時の七時雨山荘でのシーンですが、ミニバン専用タイヤ装着時よりも、走行安定感が向上し、燃費も少し良くなりました!
〇 燃費
ルミオンには、新品のEcoタイヤを3ヵ月使ってから履き替えましたが、燃費では大きな差は無い気がします。そんな程度です。
〇 泥(マディ)に強い
雨のドロドロのキャンプ場で、スタックするクルマが続出! ウチのクルマだけ、全く問題なく走行し、ちょっぴり得意げになりました。まっ、だれもタイヤなんて見ちゃぁいませんでしたけど…
〇 農作業にもお薦め
友人が経営する埼玉・白岡の「カーファクトリー・キャナス」では、農作業の軽トラに「Vector 4Seasons」への履き替えを薦めているそうです。なるほどねぇ。
〇 価格
夏タイヤより少し高いぐらいだと思います。 販売店によっても価格がちがうので、一概に言えませんが、夏タイヤとスタッドレスを履き替えるよりも断然安いのは間違いないです!
〇 タイヤの持ちは?
タクシー会社ではタイヤローテーションをして、7万キロも走った例も!
最初に履いたスパシオでは、2年履いて廃車してしまい、ルミオンでは使用から3年3ヵ月、走行距離1万9,000km時の冬に、都内は写真の様な大雪が降りましたが、雪道走行は全く問題有りませんでした。
数年前に、埼玉県警のパトカーにも採用されました!
〇 タイヤサイズも豊富
2016年の夏から、サイズのラインナップが増え、履ける車種がグン! と増えました。埼玉の実家のタントも、「お前がイイって言うからVector 4Seasonsを履いたぞ! 確かに雪が降っても心配がないから良いな!」と、父も満足の様です。
というコトで、どうでしたか? 少しは参考になったでしょうか?
ボクのように「殆ど雪が降らない」「たまーにしか雪が降らない」地域の方は、オールシーズンタイヤ の選択も有りだと思います。
「Vector 4Seasons」のインプレは、私の近藤スパ太郎公式ブログにも、詳しく寄稿していますので、こちらもご参考くださいね!
◆ 近藤スパ太郎ブログ
http://ridinghigh.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-8f6a.html
◆ グッドイヤー 「Vector 4Seasons」HP
https://www.goodyear.co.jp/products/tires/4seasons/4seasons.html