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【旧車・絶版車】1972年(50年前)のホンダのオートバイ総合カタログ掲載車両38台。CB、ダックス、エルシノア、スーパーカブの現行モデルへの進化を探ってみた…。

1972年5月発行 ホンダ総合カタログの表紙。 ライディングウエアは時代を感じさせます。


Reporter:高山正之/1955年山形県生まれ 時々物書き。
2020年7月に46年務めた本田技研工業(二輪車広報マン)を65歳で退社。
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『カタログは時代を映すバックミラー』(第9回)
中学2年生でオートバイのカタログに夢中になり、後に憧れのホンダに入社する。二輪車の広報マンを長年務めた高山正之さんが ”趣味” で集めた “オートバイ・カタログコレクション”!! その時代のバイクを取り巻く環境や当時の流行などをお届けします。 オートバイカタログは「ひとつのバイク文化」なのです…。
■高山正之さんの オートバイカタログシリーズ コチラ

この50年で変わったこと、変わらないこと ~ホンダ編~

私事ですが、自動二輪免許を取得して、スズキ 「ハスラー90」 で公道デビューしてから50年が経ちました。 50年ひと昔と言いますが、21世紀になってからは時代の変化が激しすぎて、50年はふた昔くらいに思えてしまいます。

今回はいまから50年前の ”1972年” にスポットを当てて、バイクのデザインやメカニズム、そして車名などの変化を探っていきたいと思います。


ホンダが、1972年に新発売した主な車種は下記のようになります。

■ダックスホンダ 50 /70 SPORT Ⅱ
■モトスポーツ SL250S
■ベンリイ CB90 JX DISK
■ドリーム CB350 FOUR
■シャリイ ホンダ
■ベンリイ CB125 JX
■エルシノア CR250M
■マイティダックス ST90


※カタログは個人所有につき、汚れや破損はご容赦ください。

スーパースポーツカテゴリーのページ。すべて「CB」で統一されています。

50ccの「ベンリィCB50」から750ccの「ドリームCB750FOUR」まで ”CBシリーズ” による万全とも言えるラインアップです。ホンダが得意とする ”4ストローク4気筒”は、350ccにまでバリエーションを増やしました。フロントディスクブレーキが「CB90」にも採用されるなど、ディスクブレーキ採用のスピードが速まった時期でした。
※「CB50からCB750FOUR まで1970年初頭 ホンダは「CBシリーズ」の充実化を計った! の記事


ブランド名の「CB」は今も大切に受け継がれ、125cc から1300ccまで 幅広いラインアップでファンの期待に応えています。

1972年 CB125JX
2021年 CB125R(現行販売モデル)

125ccは現在も ”CBブランド”が健在。「空冷4ストロークOHC 2気筒」から「水冷4ストロークDOHC 単気筒」に変わり、スタイリングも激変しています。

1972年 CB750 FOUR
2020年 CB1300 SUPERFOUR (現行販売モデル)

フラッグシップモデルの「CB」は、”4気筒” という気筒数のみが継承され、排気量は1.5倍以上になりました。 どちらの時代でも威風堂々とした存在感があります。

「CB」は、市販車として初めて 1959年の「ベンリイ スーパースポーツ CB92」に採用され、それから63年を迎えました。これからも時代の変化に順応しながら、ホンダのスポーツバイクの重要なブランドとして支持されていくと思います。



CLシリーズスクランブラ―のページ


SLシリーズモトスポーツのページ


「CLシリーズ」のストリートスクランブラータイプと、より走破性を高めた「SLシリーズ」のモトスポーツカテゴリー。 50cc から350cc まで、合計12車種という豊富なバリエーションに驚きます。 当時の日本は、未舗装路が多く残されていましたので、楽しく走れる場所も豊富でした。

1972年 SL250S
2020年 CRF250L (現行販売モデル)

オン&オフロードタイプは、「SL」から「CRF」に名称も変わりましたが、冒険心を掻き立てる要素は継承されていますが、現在では公道走行ができるオン&オフロードタイプのラインナップは数少なくなりました。


一方、オフロードモデル(公道走行不可)は、子供用からワークスマシン直系のレーサーまで幅広くラインアップされています。1972年当時は、市販モトクロスマシン「エルシノア CR250M」のみ販売されていました。

1972年 エルシノアCR250M
2022年 CRF450R



ホンダにとって、市販モトクロスマシン誕生から50周年を迎え、CRF450Rはブルーのシートを採用した記念モデルとしています。

2022年 CRF50F
2022年 CRF125F


また近年は子供用の ”50cc”モデルや、初心者からベテランまで楽しめる ”125cc”モデルもラインアップされ、純粋にオフロードを楽しむファンには良き時代と言えます。


ビジネスカテゴリー のページ


ビジネスカテゴリーは「スーパーカブ」がメイン車種です。

1971年 スーパーカブC50
2022年 スーパーカブ50

「スーパーカブ」は、基本的なパッケージングはそのままに現在も活躍中です。 (※1972年の「スーパーカブC50」の写真が無いため、1971年モデルを使用)



ファミリーカテゴリのページ


「ダックス」は、バリエーションを増やして人気モデルに成長していきました。

1972年 マイティダックス ST90 
2022年 ダックス125

「マイティダックス」は、ダックスシリーズの最大排気量として1972年11月に発売されました(同年5月発行のカタログには掲載されていません) 。 マニュアルクラッチの4速リターンで、オフロードイメージを高めたスポーティなスタイリングです。 今年新たに登場した「ダックス125」は、自動遠心クラッチの4速です。ダックスらしい可愛らしさと独創的なスタイリングは、現在も変わっていません。


1970年 モンキーZ50Z
2021年 モンキー125(現行販売モデル)

「モンキー」は、小さな50ccから少し大きい125ccに変わりましたが、愛らしいスタイリングと車名は継承されています。(1972年の「モンキーZ50Z」は、1970年モデルと諸元は同じです)



この50年の間に、排出ガス規制など車両に関する法律が改訂され、高速道路における二人乗り解禁など利用環境も大きく変わりました。商品開発もそれらに対応しながらユーザーの期待に応えてきました。ネーミングもその時代に合ったものに変更されながら、様々なネーミングが誕生してきました。その中で、「CB」と「スーパーカブ」は途切れることなく継承されていることに少し驚きを感じます。そして「モンキー」と「ダックス」のネーミングも復活し、将来どのように成長していくのかが楽しみです。

1972年のモデルと、現在のモデルとを比較しますと、当然ながら性能は格段に向上しています。でも、カラーリングなどはお手本になるモデルがありそうです。



1972年 ホンダ総合カタログ 裏表紙 



裏表紙は安全運転啓蒙のためのページです。 1970年、ホンダは国内の二輪・四輪メーカーに先駆けて「ホンダ安全運転普及本部」を設立し、交通安全の啓蒙と運転テクニック向上の実践を全国展開していきました。 楽しいバイクライフを交通事故によって奪われないよう、カタログでも提唱していました。今もその考えは同じです。

安全運転を基本に、楽しいバイクライフを末永く送っていただきたいと思います。


【了】 

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この記事を書いた人
◇高山農園主・時々物書き ◇ 山形県 現庄内町生まれ ◇ 1994年 埼玉県で高山農園をスタート ◇ 2020年 65歳で本田技研工業(二輪車広報マン)を退社
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