Reporter:近藤スパ太郎 (電動モビリティ伝道師) Profile Page
環境問題をテーマにした番組パーソナリティを担当して以来、環境問題全般に興味を持つ。各国をバイクで旅をし、電動バイク・電動モビリティの近未来も追っかけている。
電動モビリティ追っかけマニアの近藤スパ太郎です。電動モビリティは、最先端の技術を投入する車両が次から次へと登場して目が離せません!
AcalieのオリジナルブランドEVEREST XING から、ノウハウを結集した集大成の特定原付「CITY」が登場しました。
スタイリッシュな「CITY」は、最大出力が1.1kWあり、登坂能力は約51%(27度)の“特定原付NO.1” を誇ります。
登坂能力の高さはトルクの強さでもあり、平地を走ると加速がとても良く、とても乗りやすい特定原付です。
8月1日の一般販売を前に、プロトタイプ最終車両に試乗することが出来たので、最新の試乗リポートをお届けします。
※「CITY」にペダルを付けた電動アシスト自転車「CITY Plus」も同時発売!
「CITY Plus」の試乗インプレはこちら
「特定原付」とは、フル電動で走る最高速度20km/h以下の「特定小型原動機付自転車」のことで、16歳以上であれば免許不要で乗れる、今話題の一人乗り用モビリティです。小回りが利いて利便性が良く、立ち乗りタイプ、着座タイプ、二輪や三輪、四輪タイプなど、色々な車両が販売されています。
ナンバー登録と自賠責保険への加入が必要で、車道走行が基本、二段階右折など、特定原付独自の交通ルールが有ります。
※詳しい交通ルールは警視庁HPを参照
・座って乗る特定原付
・スタイリッシュで跨りやすい
・小型軽量でもパワフルなモーター
・登坂性能スゴい!
・航続距離、安心の60㎞
・20インチタイヤで安定走行
・サドルに高密度スポンジ採用
・IPX6の高い防水・防塵性能
・堅牢性高く、長く愛用できる
などなど・・・。
「EVEREST XING」は、海外ブランドのCOSWHEELやRICHIBITなど、複数の電動モビリティを扱う株式会社Acalie(本社:愛知県名古屋市)の自社ブランドです。つまり、もっとこんな車両があったら良いのに…を実現したのが、世界最高峰の山の名を持つEVEREST XINGです。
EVEREST XINGの「CITYシリーズ」は、累計3万台以上の販売ユーザーの声をもとに設計・開発され、特定原付の区分新設から2周年の2025年7月1日に、Acalie集大成のモビリティとして発表されました。(予約発売は8月1日を予定)
特定原付の中には、保安基準を満たしていない車両も出回っていますが、Acalieが扱う特定原付車両は全て、国土交通省の「性能等確認制度」の安全基準をクリアした車両で、認定シールが貼ってあります。
また、「CITY」はフル電動車ですが、CITYにペダルを付けた電動アシスト自転車の「CITY Plus」も同時発売されます。
これら「CITY」シリーズは、シェアリングサービス導入車両を前提に開発されたため、耐久性があるとても丈夫な作りで、長く愛用できる仕様になっているそうです。
Acalieシェア「enjoy」https://acalie-enjoy.jp/
シティサイクルの様に見えますが、ペダルは無く、フル電動で走ります。ダウンチューブを極力低くして、女性や小柄な方も乗り降りしやすいフレーム形状にしています。
脱着可能なバッテリーをダウンチューブの中に収め、スッキリしたお洒落なデザインに仕上げています。
”エベレスト”の雄大さをイメージした3色のカラーを展開。
なるほど! 試乗したウインドブルーは、青い空と白い雲や雪をイメージしているんですね! シンプルでありながらも、高級感あるカラーラインナップとなっています。
「CITY」がパワフルな理由は、後輪のハブと一体化した、インホイールモーター(ハブモーター)の恩恵です。小さなモーターですが、定格出力0.5kW、特定原付最高峰の最高出力1.1kWの性能を持ち、低速で高トルクを発揮するため、初速の加速が良く、登坂能力51%(27度)を誇るのです。
スロットルはレバー式で右手の親指で操作します。 左はウインカースイッチがあり、前後のブレーキ操作は自転車と同じです。
ハンドル両サイドの緑色ランプは、特定原付に義務付けられる速度表示灯。点灯時は最高速度の20km/hモード、点滅時は許可された歩道を走れる6km/hモードを示します。 黄色に点滅するウインカーにもなります。
スマホホルダーとフロントバスケットは標準装備なので嬉しいですね!
速度やバッテリー残量、バッテリー電圧などが見やすい液晶メーター。電源起動や走行モードの切り替えは、メーター左側のボタンで行います。
前後にメンテナンス不要のアルミ製のキャストホイール、20インチのタイヤ、耐久性の高いドラムブレーキを採用しています。 タイヤ20インチ…とは、一般的な子供乗せ電動ママチャリと同じサイズで、走破性や走行安定性が良く、駐輪ラックにも止められます。
ハンドルは左右それぞれが、ヘッドチューブに溶接されて手元に伸びているちょっと変わった形状です。
フロントバスケットは浅めで小さく見えますが、取材用の機材、暑さ対策のドリンクが数本、PCや着替えが入った40Lの大きなリュックもすっぽり入りました。
下の写真で注目すべきは、ハンドルを切ってもフロントバスケットは正面を向いている点です。多くの自転車は、フロントバスケットをハンドルポストに取り付けるためハンドル操作と連動し、重い荷物を積むとハンドルを取られてしまいます。
しかし「CITY」はフレームに取り付けるているため、ハンドル操作と連動せず、重い荷物を積んでもハンドルを取られにくい構造です。細かいところまで拘っているなぁ…と感じるひとつです。
リヤ周りもスタイリッシュ。 あっ、でもこの試乗車には、シェアリングサービスで使う、QRコードを読み取って自動で施錠解除をする黒い装置が付いています。○で囲った黒い装置は一般販売車には有りません。
そしてこんな風に、リヤキャリア(オプション:1万1000円)を付ければ大きな荷物がさらに搭載可能。
実は2025年8月31日までの先行予約キャンペーンで、リアキャリア、メーターディスプレイカバー(2200円)、2年延長保証(8000円)の総額2万2000円相当がプレゼントされます。
肉厚でクッション性があり、長く座ってもお尻が痛くなりにくい高密度スポンジを採用したサドル。高さ調整も大きなクイックレバーで操作が楽々で、しかもシートポストに身長サイズのメモリが書かれています。身長150cmから190cmほどまで可能で、最大荷重は100㎏。
高価なサドルは盗難が多いのですが、シートポストが抜けない盗難防止構造になっています。
車体電源ONで常時点灯する、LED製のヘッドライトとテールランプは、日中でも明るいため、事故防止にも役立っています。
サイドスタンドって傾斜や強風で倒れてしまいますよね。「CITY」は、台風でも極めて倒れにくい設計のセンタースタンドを採用しています。重い荷物を乗せたまま駐輪することも可能です。
先ずは乗車前にサドルの高さを調整します。 やはり大きなクイックレバーは操作が簡単で、身長のメモリもとてもわかりやすいです。
電源起動は、必ず跨ってから行います。跨ったら、メーターの電源ボタンを押して起動。
電動モビリティは、電源ONになっても音が無いため、うっかりスロットルに触れると誤発進してしまいます。誤発進防止の為にも「跨ってから電源ON。降りる前に電源OFF」は、電動モビリティでは重要な手順なんです。
また、他の殆どの特定原付は、電源ON直後のデフォルトが6km/hモードのため、走り出す前に20km/hモードに切り替えてるひと手間が必要です。ですが「CITY」ではデフォルトが20km/hモードなので、切り替え操作が必要なくそのまま走り出せるようになっています。
因みに6km/hモードは、走行が許可された歩道を走る時のモードです。まぁでも押して歩いた方が速いので、めったに使う事はないでしょう。
さて、いよいよ発進!!!
スロットルレバーを操作すると、走り出しのパワーがあって加速が良い。最高速度の20km/hまでに達する速さが、他の特定原付と比べて圧倒的に良いんです。
パワーがあるとは言っても、中華系電動モビリティにありがちな急に走り出す訳ではなく、滑らかな加速パワー。
最高速度が低い特定原付だからこそ、加速が良いとこんなにも乗りやすくなるのか…と実感しました。
直進だけでなく、コーナリングも安定性が高く安心して走行できます。
また、同じ速度を約5秒間維持すると、自動でオートクルーズが作動してスロットルを操作しなくてもその速度を維持して走ります。特定原付って速度上限の20km/hで走ることが多いので、オートクルーズ機能は結構便利なんです。
そして、「CITY」の登坂性能を検証したく、激坂を地元の方に聞いて、スマホのナビにセット。標準装備のスマホホルダに簡単に装着できる点も、ユーザー目線で開発されていることを感じます。
有りました。長~い激坂が!
まっ正直なところ、こんな急坂でも登れる特定原付車両はあります。ですが途中でスピードが落ちたり、最後まで登れない車両が実は多いんですよね。
「CITY」がスゴイのは、長~い登り坂でも “速度が落ちずに最後まで楽々と登ってしまう” こと。 さらに驚いたのは、写真の様に急坂の途中で停止させても、楽々と再スタートしてグイグイ速度を上げて登坂できること。 このパワーにはホント、感心しました。
この激坂も楽々と、いや何ごともなく普通に登っちゃいました。
ボクの体重76kg、この日の荷物は約8kg。 色々な激坂を何度も往復して走行検証しましたが、連続してモーターに負荷を掛けても、それほど発熱しない性能にも驚きました。 やはり現行の特定原付の中で、“最強の登坂能力” と言っていいと思います。
そして激坂の下りって走行が不安定で危なかったりするんです。ですが「CITY」は、ブレーキを掛けながら安定した走行を維持し、安心して下ることができました。 高い剛性のフレームと20インチタイヤを採用した低重心設計の恩恵なのだと思います。
それと、特定原付は「自転車を除く」の表示があれば、一方通行の逆走が可能です。目的地まで安全なルートで、最短距離で走れることも、特定原付の大きなメリットです。
ですがフル電動車だけに、外出先でのバッテリー切れはとても心配ですよね。
体重や荷物の重さ、走行条件によっても異なりますが、スペック上の航続距離は、一充電で約60kmもありこれも特定原付としてはとても優秀です。
48V 13.2Ahの大容量のバッテリーは、車体に搭載したままでも外しても充電が可能で、約6時間でフルチャージ。バッテリーはロックできるので、盗難の心配がなく、3.8kgと軽いので持ち運びも楽々です。
スタイリッシュな車体でありながらも、登坂能力と加速性能を誇り、「CITY」の走行はとても静かで快適でした。
シェアリングでの使用にも耐える高い堅牢性と、IPX6の高い防水・防塵性能を持ち、必要ならリアキャリアの搭載も可能。航続距離も長いので通勤や通学、買い物やデリバリー業務など、多様なライフスタイルに合わせて長く愛用できそうな1台ですね。
大手家電量販店で「CITY」の試乗体験会があり、参加した人達にインタビューすると…
・お洒落でいいね!
・跨りやすいね
・チェーンが無いからワイドパンツでも乗れるね
・静かでいいね
・坂の上に住んでるけど、パワーがあっていいね!
と、皆さん「CITY」が拘ったポイントを高評価していました。
Acalieのスタッフから「フットペグの取り付けも丈夫なので立ち乗りも可能」と聞いたので、試してみました。
おぉ、ステップの位置が丁度良く、スタンディングポジションが楽々! トルクパワーがあるので悪路の走行でもしかしたら遊べちゃう?…と、オフロードバイク好きなボクはニヤニヤ。
いやでも、アウトドアなどのレジャーでも活用できそうですね!
さて、電動アシスト自転車の「CITY Plus」(17万6000円~)と迷う方もいると思います。
特定原付には道交法で子供乗せが出来ません。子供の送り迎えが目的の方は「CITY Plus」の選択になります。
「CITY Plus」のインプレッション記事も参考下さいね!
■EVEREST XING 「CITY」Specifications
※車重は記事公開時の最新数値です
区分:特例特定小型原動機付自転車
性能等確認済:JATA-0150
本体価格:19万8000円(税込)
車体サイズ(全長×全幅×全高):1,640×595×1,100㎜
車両重量:約25kg
航続距離:60㎞(荷重や気温、走行状況により異なる)
モーター定格出力:0.5kw
モーター最高出力:1.1kw
最大登坂能力:勾配約51%(27度)
最高速度:車道20km/h、歩道6km/h
最大荷重:100㎏
バッテリー:リチウムイオンバッテリー(13.2Ah/48V 約3.8kg)
充電時間:6時間
タイヤサイズ:前後20インチ
制動装置形式:前後ドラム式ディスクブレーキ
適応身長:150cm~
2025年8月31日までの先行予約キャンペーンです!
オンラインショップや全国正規ディーラー情報は、公式ページにリンク
■Acalie EVEREST XING 「CITY」公式HP
https://everestxing.jp/city.html
■Acalie HP
https://ali-jp.com/
【了】
※Acalieの他の電動モビリティ試乗記事
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