Photo by:高橋進
Reporter:近藤スパ太郎 (電動モビリティの魅力伝道師) Profile Page
環境問題をテーマにした番組パーソナリティを担当して以来環境問題全般に興味を持つ。普段の移動はバイクが多く、電動バイク・電動モビリティも追っかけている。
電動モビリティ追っかけタレントの近藤スパ太郎です。
電動モビリティは、最先端技術を持つ車両が次から次へと登場して目が離せません!
最大出力が1000Wもあり、登坂能力勾配が47%のパワー持つ 電気キックボード「EX15 PRO」特例特定小型原付(以下、特定原付)が登場しました。
「そんなにパワーがあったら危くない?」と、誰もが思いますよね? ですが全く違っていました。
パワーを強化する一方で、最新の電子制御システムで誰もが安心に乗れる車両で、活用幅がとても広い電動キックボードだったのです。いや、むしろ電動キックボード未経験者こそ、ファースト電動キックボードにお薦めの車両でした。
事実、電動キックボードに触れたことすらなかった運動オンチな大学生の娘も「これなら私も乗れる!」「もう慣れた!」と自信を持った様です。
もちろん、アクティブユーザーも満足できる設定にも変更できてボクも満足でした!
■「EX15 PRO」の特徴
・モーターパワーを強化!
・アプリで初心者に優しい設定が可能
・逆にパワー寄りな設定にも可能
・大容量バッテリーで50kmの航続距離
■「EX15 PRO」が特に優れている点(スパ太郎私感)
・ブレーキ性能が良い
→タイヤロックし難い
→ブレーキ性能を好みに設定できる
・登り坂が最強!
・下り坂も安心!
→安心のブレーキ性能と構造を持つ
……と、ボクは安全の要でもある”ブレーキ性能”を特に高評価しています。 約1ヵ月間試乗した、メーカーに忖度なしのスパ太郎インプレッションをお届けします~!
“特定小型原付”(特定原付)とは、最高速度が20km/hの一人乗り小型電動モビリティです。電動キックボードタイプや、座って乗れる車両、4輪タイプも登場していて16歳以上なら免許不要で乗れます。
交通ルールを守らない利用者が社会問題になっていますが、警察庁や警視庁のHPにも交通ルールが解説されています。
勘違いしている人も多いのですが、通行可能な歩道を走れるのは、特例特定原付という最高速度6km/hモードを持つ車両が、このモードに切り替えた時のみです。ですが6km/hって歩行者と同じような速度で、ボクの経験では押して歩いた方が速いし安全です。
保安基準を満たしていない車両も出回っているため、国土交通省認定のシールが貼ってある車両に乗る事も重要です。
「EVEREST XING」は、COSWHEEL(米国)やRICHIBIT(中国)など、複数の電動モビリティを扱うAcalie(アカリエ/本社:愛知県名古屋市)の自社ブランド。つまり、もっとこんな車両があったら良いのに…を実現したのが「EVEREST XING」なんです。
試乗した「EX15 PRO」は、加速パワー、最高速度、電子ABS(ブレーキ)などを最新の電子制御でコントロールして、安全性能と走行性能を両立。これらはBluetoothでスマホアプリに繋いで、好み設定に変更が可能です。
オートクルーズや車両パスワード(盗難抑止機能)、自動電源OFF機能も備え、48V/15Ah(0.720kWh)の容量が大きなバッテリーを搭載して航続距離約50kmを確保しています。 製造は中国ですが、Acalieが実現させたハイエンドな電動キックボードです。 もちろん、Acalieが扱う特定原付は全て国交省認定車両です。
パッと見た感じは、ごく普通の電動キックボードですが、最新の電子的制御技術が投入され、スマホアプリで車両設定の変更が可能です。
メーターは速度、バッテリー残量、走行モードのシンプル表示。スロットルはレバー式で、電源ボタンで6km/hと20km/hの走行モード切り替えができます。
ハンドルエンド部の緑色のライトは最高速度表示灯で、6km/hモード時に点滅します。またオレンジ色に光ってウインカーの機能も持ちます。
前輪はサスペンションとドラムブレーキを採用。8.5インチタイヤを履く車両もありますが、少し大きな10インチを採用して走行性能を向上させています。前後共に10インチのノーパンクタイヤを履き、パンクの心配がありません。
後輪はディスクブレーキを採用。定格出力600W、最大出力1000Wのインホイールモーターは電子ABS(ブレーキ)機能も持っています。
ボードの裏側を覗き込んだら、リヤサスペンションのスプリングが2本も搭載されていました。
電動キックボードは構造上、ネガティブな車両特性があります。
・タイヤが小さい
・キャスター角が立っている
これらの構造特性から、
・路面の凸凹に影響を受けやすくハンドルを取られやすい
・ブレーキがロックしやすい
・特にフロントブレーキがロックすると後輪が浮き上がってとても危ない
などの車両特性があり、これらが「電動キックボードは危ない」と言われる所以です。 これらの点にも着目して試乗しました。
ボードに乗るとボードが少し沈み、さっそく前後サスペンションの働きを感じます。先ずは、納車時のモードで試乗しました。
シェアリング代表格のLOOPの車両よりも少しコンパクトです。直進安定が良くコーナリングも安定しています。
ブレーキングはかなり良い印象で、かなり強く掛けてもロックすることなく滑らかに減速、停車します。ブレーキ性能や乗り心地の良さは前後サスペンションの恩恵が大きいと思います。
とは言えやはりタイヤは小さく、キックボードの車両特性と、固いノーパンクタイヤは路面の凸凹の影響を受けやすく、特に小石などはハンドルを取られるので、踏まない注意が必要です。
バッテリー容量が大きいため、車重23kgは重い方なのですが、走行中に重さは全く気になりません。むしろボート下に搭載した低重心設計が、走行安定性に貢献している印象を持ちました。
登坂性能の高さを謳う車両ですから、急坂でも速度が落ちることなくグイグイ登って快適です。
いや、むしろ怖いのは下り坂 なんです。
ボクの経験では下り坂は惰性で走っても、特定原付の最高速度20kmを越えてしまう車両が殆どです。
ブレーキでスピードをコントロールしますが、後輪を強く掛けると後輪がロックしたり、フロントブレーキを強く掛けると後輪が浮いてしまって、最悪の場合は前転していまう場合もあります。
ですがEX15PROは、下り坂とブレーキによる前方加重をサスペンションが吸収し、電子制御が効いて設定した最高速度を越えないため、オーバースピードになることがなく、またブレーキでロックしたり後輪が浮くこともありませんでした。
これはとても画期的で、初心者だけではなく、坂が多い地域のヘヴィーユーザーの方にもEX15Pro はお薦めする理由です。
スマホアプリにBluetoothで繋げると、バッテリー残量や電圧など車両情報が表示され、車両設定の変更もアプリで行えます。
アプリに表示されたオドメーターを見てビックリ! この試乗車、もう既に350km以上も走っていました。
この画面で車両を自分の好みに設定変更ができます。
車両の設定変更が可能な項目が多数あるので、良かった機能のみを、良かった順に紹介しますね。
①電子ABS(ブレーキ)
通常の機械式ブレーキと併用する 電子ABSも設定できます。これはモーターを電子的に制御してブレーキを掛けるもので、電子ABS無し、LOW、MID、HIGHの4つから選択でき、ブレーキレバーを握ると自動で作動しますが、HIGHはリヤタイヤがロックしやすい傾向がありました。ボクはLOW設定が好みでした。
後日メーカーの方にお聞きすると、HIGHは体重がある方にお薦めだそうです。因みにボクは76kg。車両の耐荷重量120㎏です。
また、前輪を強く掛けると後輪が浮き上がる電動キックボードもありますが、EX15PROはどのモードでも前輪ロックや後輪が浮き上がることはありませんでした。これもボク的には高評価です。(やっぱりブレーキ性能はかなり良いですね)
②加速パワーの調整
加速度を0~100をスライドバーで変更が可能です。これは慣れや好みが大きく有りそうですが、マックスパワーでもフロントタイヤが浮き上がることはありません。
ボクは交通量が多い道では、加速パワーが高い方がキビキビ走って乗りやすく感じました。細い道では50に設定。初めて乗る娘は40から始めました。
③オートクルーズ機能
同じ速度を維持するとオートクルーズ機能が作動します。維持スピードを0秒~10秒の間で設定でき、ボクは5秒にしていました。特定原付は最高速度が20km/hのため、子供を乗せた電動アシストママチャリに抜かされることもあります。そのくらいの速度域なので、最高速度を維持して走ることも多く、オートクルーズ機能はかなり便利なんです。
④最高速度を4モードから選択
車体側では6km/hと、20 km/hの2モードの選択ですが、アプリでは最高速度が6km/h、10 km/h、15 km/h、20 km/hの4モードから選択できます。
例えば15 km/hにすれば、激坂の下り道でも15 km/hを超える事はありません。
因みに、6km/h(緑の最高速度表示灯が点滅)の時のみ、許可された歩道通行が可能ですが、歩道は押して歩いた方が速いかも?
⑤キックスタートか、スロットルスタートかを選択
電動キックボードはスタートする時、路面をキックして助走を付け、一定速度を越えないとスロットル操作が出来ない車両もあります。
EX15PROはスロットル操作のみでスタートが出来たり、キック助走後に何キロでスロットル操作を可能にするのか…が、1km/h~8km/h間で設定できます。
これも好みかな…と思いますが、ボクはスロットル操作のみが乗りやすいです。
他にも、スマホを車両に固定してメーターパネルとして活用できたり、オンボードカメラとしての撮影機能、自動電源OFF機能、セキュリティ機能、車両状態の診断もアプリで行えます。
ハンドルステム下のクイックレバーで、簡単に折り畳みが可能です。クイックレバーは安心のWロック式。
24kgなので軽くはありませんが、ボクは車両に積み込んで移動先で乗ったり、事務デスクの足元に置いたりしていました。車両が少しコンパクトサイズなので、折り畳んだ時のスペース性が良かったです。
バッテリーは脱着できずプラグイン充電のみ。バッテリー容量が大きいため空状態からの充電時間は約7h~8hとちょっと長めです。
通常の道路では全く問題ないのですが、写真の様な荒れた路面が続くと微振動がでます。振動の周波数が合ってしまうと頭に響くんです。
スピードを変更する事で軽減されますが、まぁこれはカチカチのノーパンクタイヤのデメリットでしょうね。パンクのリスクや定期的に空気を入れる面倒くささが無いメリットを考えたら、まぁ、許容範囲かなぁ…。
それと、電動キックボードあるある ですが、駐輪ラックは入らないことが多いです。
なんと言っても、“特定原付”はチョイ乗りが便利です。特に「自転車通行可」の表示がある一方通行の逆走が可能です。特に都内は一方通行が多く、逆走が出来ることで目的地に行きやすくメチャクチャ便利です。
…と、約1ヵ月間EX15PROに試乗して感じたこと。
ホント、ブレーキ性能は高評価です。
そしてパワーをUPさせることは、必ずしも危なさに直結するものでは無いことを、EX15PROで知りました。
パワーを上げることで車両の許容範囲を大きくし、電子的制御で安全をマージンすることが可能なんですね!
自分の好みに簡単に車両設定が可能のなで、初心者からアクティブユーザーまでを網羅し、使い勝手が良い楽しい電動キックボードが「EX15PRO」。
これ1台あれば、家族や仲間とシェアした活用も出来そうですね!
■ EVEREST XING EX15 PRO Specifications
●全長×全幅×全高:1200×580×1200mm(折り畳み時:1200×580×520mm) ●車体重量:23kg ●原動機:インホイールモーター ●定格出力:0.6kW ●最大出力:1kW ●最高速度:20km/h ●最大航続距離:50km ※1●耐荷重量:120㎏ ●登坂角度:47%(25度)※ ●駆動用バッテリー:リチウムイオン電池 ●バッテリー電圧/容量/充電時間: 48V/15Ah(0.720kWh)/約7~8時間 ●防水性能:IPX5 ●ブレーキ:F・ドラムブレーキ/R・機械式ディスクブレーキ(電子ABSを装備)●フレーム:アルミ合金 ●タイヤサイズ:F・R/10インチノーパンクタイヤ ●カラー:EVEREST WHITE、SLATE BLACK ●車両区分:特例特定小型原動機付自転車 ●希望小売価格:151,800円(税込)※2
※1:最大登坂能力、最大航続距離は自社実験による理論値。路面状況や環境により異なる。登坂能力38%は負荷58kgで公道実証実験済
※2:記事公開時の価格
■EVEREST XING EX15 PRO (Acalie公式)
https://everestxing.jp/ex15pro.html
■Acalie HP
https://ali-jp.com/
特定小型原付(特定原付)は、最高速度が20km/h以下、定格出力が0.6kW以下の一人乗り小型電動モビリティで、16歳以上であれば免許不要で運転できます。
ナンバー登録と自賠責保険の加入が必要で走れる場所は「車道の左側」か「自転車道」が基本。交差点は二段階右折、進入禁止の道路でも「自転車を除く」の表示があれば通行可能など独自の交通ルールがあります。
歩道走行は、最高速度を6km/hに切り替えた時(緑の最高速度表示灯が点滅)のみ、自転車走行可の歩道の車道側の走行が可能ですが、実際には押して歩いた方が速いです。
特定原付は、便利で楽しい新カテゴリの乗り物ですが、ユーザーのマナーが問われています。ナンバー登録と自賠責保険の加入が必要で、ヘルメットも被りましょう。
交通ルールは警察庁や警視庁のHPでも確認できます。警視庁の方がイラストが多く分かりやすいかも知れません。
【了】