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「広島原爆投下」の動画絵本作品に 被爆体験者の山田玲子さん(88歳)がナレーション、広島大学の美術部と演劇サークルも参加!| YouTube 絵本動画「えほんわーるど」作品紹介-1

YouTube 絵本動画「えほんわーるど」作品紹介-1

2022年8月6日。広島の地に原爆が投下されてから77年目に当たるこの日、YouTubeチャンネル「えほんわーるど」では特別企画として 日本の歴史「広島原爆投下」の動画作品を公開した。「えほんわーるど」主宰の斎藤達章さんに、制作の背景などをリポート頂いた。


Report:「えほんわーるど」主宰/斎藤達章
中央大学 商学部経営学科4年生。中央大学公認部会「児童文学研究会イーハトーヴ」代表。2022年4月に YouTubeで絵本動画作品を配信する「えほんわーるど」チャンネル を開設する。好きな児童文学作品はハリー・ポッター(中世ヨーロッパのあの世界観が大好き!)。


日本の歴史「広島原爆投下」― 今だからこそ伝えてゆかなけばならぬ物語がある


今年は世界情勢が目まぐるしく変化した。2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始したことは皆さんもご存知のとおりだろう。その後、ロシアのプーチン大統領が核攻撃を示唆するような発言をしたり、原子力発電所に対する爆撃が発生したりと、世界は再び核の脅威に晒される時代へと突入した。

今年の11月23日には、核兵器保有国と非保有国の政治指導者たちを被爆地の広島に招き「第1回 広島賢人会議」が開催され、来年2023年の5月には「G7広島サミット」が開催される予定だ。いま世界の指導者に求められることは言うまでもなく、広島や長崎の教訓から学び、あの惨禍を二度と繰り返してはならないということだろう。


先の大戦が終わりを告げてから77年が経過し、当時の記憶を語れる人々が減少していく中で、いかにして広島や長崎の教訓を後世に伝えていけるのだろうか……。 私が考え抜いた一つの結論が、YouTubeで ”原爆投下” を題材にした作品公開だったのである。

YouTubeチャンネル「えほんわーるど」では、歴史を勉強する 小学校高学年~高校生をターゲットにした「日本の歴史」というジャンルを設けて作品の制作を進めている。 今回公開した「広島原爆投下」という作品も、全国の学校教育の場で、平和学習の時間に活用いただけることを願い制作した。


絵本動画「広島原爆投下」作品の制作舞台裏。

さてここからは、日本の歴史「広島原爆投下」の制作工程のエピソードをご紹介しよう。

史実である「広島原爆投下」の作品では、単なる動画コンテンツの一つとして制作するのではなく、当事者目線を取り入れ、作品に参加して頂く方々の人選にも徹底的なこだわりを入れたかった。

イラスト制作は「広島大学美術部」に依頼し、ナレーションの朗読には、広島で実際に原爆被害に遭われた方にお願いできるよう準備を進めた。とはいえ 被爆者の方に知り合いがいなかったので、一般社団法人 東友会 (東京都原爆被害者協議会)に 協力を仰ぐことにした。

※「東友会」と「東京都原爆被害者協議会」は同じ団体。”原爆被害者” という語感を快く思わない被爆者の方もいらっしゃるそうで、法人としては「東友会」を名乗っているそうだ。


そして東友会を通じて紹介されたのが、御年88歳の山田玲子さんだった。 山田さんは小学5年生のときに広島で被爆され、被爆体験を後世に伝える活動を現在も行っている方だ。

また山田さんは、東友会の副会長職を退任するまで 10回以上も訪米して講演会活動を行い、広島の原爆投下を命じた トルーマン元大統領(1945年当時)の孫である クリフトン・トルーマン・ダニエルさんが、2012年に来日した際にも尽力された方である。


7月8日に山田さんと初めてお会いして打ち合わせを行った。 このとき「あら中央大学の学生さんなのね。私こないだ中央大学の多摩キャンパスに行ったばかりよ!」と衝撃の発言が(私は中央大学の商学部の現役学生)。 法学部の授業で、ほぼ毎年ゲストスピーカーとして原爆体験の講義を行っているそうだ。 まさか ”中央大学” で繋がるとは思いもしなかった。

実はお会いしたこの日に、ナレーション収録まで終える予定であったのだが、私が執筆した台本に関して色々とダメ出しを受け、修正ののち、7月12日に改めて収録を実施することとなった。被爆された当事者から、細かなところまで直接お話しを聞くことができるのは、私にとっても、作品にとっても本当に貴重なことであった。

また、ナレーション収録は池袋の公共施設で実施したのだが、この時にも付き添いの方はおらず、収録後には「私はこのあと、デパートで買い物してから帰るわね!」と、気さくなお人柄にもとても親近感を覚え、年齢を感じさせない活動的なことにもとても驚いた。

収録後に山田玲子さんと記念撮影。



ナレーション収録から数日後、作品に登場する「兄」と「妹」の声を依頼していた「広島大学演劇団」から送られてきて、音源パーツが全て揃った。 そして「広島大学美術部」が制作した渾身の絵画と合わせて、77年前に広島に原爆が投下された ”8月6日”に、満を持して日本の歴史「広島原爆投下」の作品公開に至ったのである……。


昭和の時代の決して忘れてはならない歴史(記憶)と、平成から令和の新しい時代、世代が融合して紡ぎ出す物語となっています。 静かな環境で、落ち着いて鑑賞頂けると幸いです。


日本の歴史「広島原爆投下」
YouTubeチャンネル「えほんわーるど」にて公開中!

【制作協力】
・執筆:斎藤達章(中央大学児童文学研究会イーハトーヴ)
・イラスト制作:広島大学美術部
・ナレーション:山田玲子(東京都原爆被害者協議会)
・兄:れーじ(広島大学演劇団)
・妹:ねも(広島大学演劇団)
・音楽:DOVA-SYNDROME、クラシック名曲サウンドライブラリー
・効果音:音人、効果音ラボ
・動画編集:斎藤達章(中央大学児童文学研究会イーハトーヴ)




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【了】

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