Report:「えほんわーるど」主宰/斎藤達章
中央大学 商学部経営学科卒業。在学中に中央大学公認部会「児童文学研究会イーハトーヴ」の会長を務め、2022年4月に YouTubeで絵本動画作品を配信する「えほんわーるど」チャンネル をOPEN。好きな児童文学作品はハリー・ポッター(中世ヨーロッパのあの世界観が大好き!)。
皆さんは「にょうら姫」という妖怪をご存知でしょうか?
一般にはまだ馴染みがないかもしれませんが、静岡県浜松市の天竜地区に伝わる妖怪で、妖怪マニアの間では近年知名度が急上昇中です。
2022年に笠間書院より出版された『日本怪異妖怪事典 中部』では、この「にょうら姫」が表紙を飾っています(リンク先のひょうたんを持っている妖怪がにょうら姫です)。
とある雪の降る日に、おじいさんの暮らす山小屋を訪れ、ひょうたんから小人のような兵士を大勢召喚し、関ヶ原の戦いをおじいさんに見せたあと山小屋をあとにする。こうした言い伝えのあるにょうら姫ですが、にょうら姫に魅了され、その魅力をXに投稿して話題になった猫屋敷さんに、今回紹介する映像作品「にょうら姫」のイラストを担当していただきました!
静岡県在住の猫屋敷さんと、東京都在住のわたくし斎藤がどのように出会い、今回の作品が生まれたのか……。猫屋敷さんが経緯を語って下さいました。
猫屋敷:猫屋敷と申します。今回、えほんわーるどさんの動画『日本の昔話「にょうら姫」』にイラストで参加させていただきました。普段は本を読んだり現地を訪れたりして静岡県内の妖怪について調べています。また、妖怪のイラストや、稀に動画の作成も行っています。
――――数ある妖怪の中で、なぜ「にょうら姫」がお好きなのでしょうか?
猫屋敷:はじめて「にょうら姫」を知ったとき、まず「瓢箪(ひょうたん)から小さな兵隊を出す」という能力に大きな魅力を感じました。にょうら姫の他にも戦の様子を語る妖怪はいますが、小さな兵隊を出して戦を再現する妖怪は珍しいと思います。また、創作の題材としての可能性を感じることも好きな理由の一つです。
「にょうら姫」はお話の中で、瓢箪から小さな兵隊を出して関ヶ原の戦いの様子を再現します。この設定を元に、小さな兵隊を操って戦うキャラクターにしてみたら面白いかな……、なんて妄想しました。戦に限らず、他の様々な歴史上の出来事を再現したり、ミュージカルやサーカスなんかをしても楽しそうです。
「にょうら姫」の外見に関して原典では「美しい娘」とされています。デフォルメしてマスコットキャラクターのようにしても、美少女キャラクターのようにしても面白いと思います。それと、名前の響きがかわいいですよね、「にょうら姫」。他のなにかとも名前が被ることがなさそうですし。
――――今回、にょうら姫のイラスト制作を手がけるに至った経緯は?
猫屋敷:知人の友人の紹介で都内で行われたクリエイター交流会に参加する機会がありました。そこで えほんわーるど代表の斎藤さんとお会いし、お互いの活動で重なる「日本の昔話」について話が弾みました。また、イラストの作成も行なっているということをお伝えしたところ今回の企画が持ち上がり、参加させていただくこととなりました。
私をクリエイター交流会へと誘ってくださった方は、その日初めてお会いした方でした。また、どこへ、何をしに行くかも詳しく伝えられないまま知らない土地に導かれ、たどり着いた場所は様々なクリエイターさんがいらっしゃる不思議な空間でした。今でもあの日のことを思い返すと、夢を見ていたのではないかとさえ思えてしまいます。まさかこんなに素敵な出会いがあるとは思ってもいないことでした。
――――完成した動画作品を観て、如何でしたか?
猫屋敷:とても素敵な作品でした! 今回の企画に携われたことを光栄に思うと共に、ご協力してくださった全ての方に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
私はこれまでイラストと文章で「にょうら姫」を紹介してきましたが、語りと映像の動画作品は、より多くの人々に訴えかける力を持っていると思います。今回の動画作品でさらに妖怪の楽しさを広めることができればと思います。
それと個人的な話にはなりますが、以前から存じ上げていた七海映子さんが、おばあさんの役として自分のイラストに声をつけてくださっていることがとても嬉しかったです。
――――今後の活動の予定は?
猫屋敷:静岡県の妖怪約500項目を掲載した妖怪事典の作成を計画中です。当分の目標はこの事典を世に出すことです。いつになるか分かりませんが、形になった暁には是非手に取っていただけたらと思います。
さて、猫屋敷さんが知人の友人の紹介で参加したというクリエイター交流会ですが、一方のわたくし斎藤は、今回ナレーションを務めた声優の鈴木臨之介さんからのお誘いで参加しました。そんな両者が繋がるキーマンともなった鈴木さんにも話を伺いました!
――――作品制作のきっかけになったクリエイター交流会も含めて、感想いただければと思います。
鈴木臨之介:私は基本的にお誘いあれば行きます。主宰からお声掛けいただいた時、たまたまタイミングよく斎藤くんが近くにいたので「よかったら来る?」と誘ったまでです。その御縁を作品まで繋いでいったのは斎藤くんですから。
斎藤くんとは彼が学生時代から付き合いはありますが、社会人となり大きく活躍していて彼を知っている身としてとても嬉しいです。
今回の「にょうら姫」で私はナレーションという地盤を固めるポジションを任せてもらいました。繋がった御縁を終わらせず続いていくよう、両者(著者と演出者)の大切にしていることを汲み取れるよう、リスペクトを忘れず声に詰め込んだつもりです。多くの方に「にょうら姫」のお話を知っていただき、愛していただけますと幸いです。
――――今年の抱負は?
鈴木臨之介:えほんわーるどで言えば「リアル読み聞かせ」イベントをやりたい! それといつも1人収録なので「掛け合いの収録」をしてみたいですね。声優の仕事をしておりますので、隣に共演者がいて生の空気を一緒に感じてお芝居をすると、普段と違うものが生まれることが多々あります。そういう「一緒に感じあえた時だけに生まれる人の熱」みたいな、そういう熱量を高めあった声をマイクに込め、みなさんにお伝えできたら素敵だなぁと思っております。遠方にお住まいの出演者は難しいかとは思いますが。代表の斎藤くんに期待です!
斎藤:はい、リアル読み聞かせや掛け合いの収録が実現した暁には、SPANGSSでも紹介できたらと考えております!
さて最後に、おばあさん役を担当した 七海映子さんからもコメントをいただきました。 イラストを手がけた猫屋敷さんは、TVアニメ「けものフレンズ」でのフォッサ役や、ボイスドラマ「鬼っ子ハンターついなちゃん」の後鬼(ごき)役で、すでに七海さんをご存知だったとのこと。今回共演が叶って大変喜んでいらっしゃいました!
七海:「にょうら姫」というお話は、実は今回のオファーを頂くまで存じ上げませんでした。完成品を拝見し、猫屋敷さんが手掛けられたイラストの若草色の着物を着た可愛らしい姫が、ミニチュアの戦を展開させるという不思議な内容に文字には表現されていない部分で奥深いものを感じ、改めて色々と想像をめぐらせました。
猫屋敷さんは、過去に私の出演した作品もご覧になって下さっていたとのことで、今回お仕事をご一緒させて頂けたご縁を嬉しく思います。ありがとうございました。
如何だったでしょうか?
このように色々なご縁が絡み合って今回の制作に繋がり、完成した作品ということがお分かりいただけたかと思います。
日本の昔話「にょうら姫」は下記リンクよりご覧いただけます。
■YouTubeチャンネル「えほんわーるど」で公開中!
「にょうら姫」
■下記リンクで、他にもYouTube 絵本動画「えほんわーるど」の作品紹介や、制作のエピソードを紹介しています。
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#えほんわーるど
https://spangss.com/archives/tag/ehonworld