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廃棄ゴミから作る服。スペイン発のサスティナブルブランド「エコアルフ」を大学生がインタビュー|三陽商会 ECOALF

ゴミからリサイクルした素材で服を作る、三陽商会のエコアルフ。

取材協力:株式会社三陽商会 ECOALF
ECOALF: https://ecoalf.jp/

Reporter:長谷川瑞佳 

明治学院大学4年生、ミス明治学院コンテスト2020ファイナリスト、横須賀GEMs project 2021イメージリーダー、ミスキャンパス「キャンパスラボ」メンバー/Cheer! SDGs 学生編集長
趣味:茶道、展覧会巡り
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長谷川瑞佳 「SDGs目線でファッションを取材しました!」シリーズ【第1回】
ファッションが大好きな長谷川瑞佳さん。自信が持てたりポジティブな気分になれるファッションの楽しさをSNSなどで発信しているが、大学の授業でアパレル業界が抱える環境問題や労働問題を学び衝撃を受けた。この問題をもっと勉強してサスティナブルファッションを広め「ファッションで世界を変えたい」という夢ができた。夢の実現に向けた1歩がSPANGSSでスタート!


ファッション業界は「石油産業に次いで世界で2番目に環境汚染をしている業界」と言われ、業界としての「環境問題」への取り組みが重要になっています。国連が定めた ”2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す17つの国際目標” 「SDGs (Sustainable Development Goals)」 が浸透しつつある現在、「環境問題」はよく耳にするワードの1つですよね。

そこで今回、リサイクル素材で製品作りをするサスティナブルファションブランド「ECOALF (エコアルフ)」を取材しました。



★教えて頂いた方★

株式会社三陽商会
事業本部 コーポレート・エコアルフビジネス部
エコアルフ課長
兼 エコアルフ・ジャパン株式会社 取締役 Director
下川 雅敏 さん

エコアルフの浅草ショールームに伺い、ブランド責任者である下川さんに、エコアルフのサスティナブルな取り組みを教えて頂きました。

エコアルフ はこんなブランド

「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」~第2の地球はないのだから…~
 地球を想うアパレルブランド

浅草ショールームには、再生素材の原料となるペットボトルや漁網が展示されていました。



エコアルフの創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏は、このまま天然資源の浪費をし続けていく未来社会へ不安を抱き、2009年に「真にサスティナブルなファッションブランドを作る」ことを目標にスペインでスタートしました。

今ではヨーロッパで支持が高いブランドに成長し、スペインをはじめ欧米6カ国に直営店と卸事業を展開しており、日本では三陽商会により2020年の春から展開を開始しました。

エコアルフの特徴は、全てのアイテムにリサイクル素材や、環境負荷の軽い天然素材を使っていることです。「リサイクル素材」と聞くと、使えないものや汚いなどのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、決してそんなことはなく、むしろリサイクル素材ならではの利点もたくさんあることを教えて頂きました。


例えば、エコアルフの製品には、海のゴミとなっていた海洋ペットボトルや漁網をリサイクルして作ったスニーカーや、廃タイヤをリサイクルしたビーチサンダルがあります。

特に廃タイヤのリサイクルは難しいと言われていますが、エコアルフが2年かけてリサイクル技術を開発しました。

手に取ると少し重みがありました。サンダルの底の部分(黒い部分)がタイヤを再生したラバー素材で、一般的なサンダルに比べて強度がとても高く、すり減りにくいのが特徴です。
それと少しバニラの香りがしました。これはリサイクル素材のネガティブなイメージを覆すために、タイヤのラバーを微粒子にした段階でバニラエッセンスの香りを加えているそうです。

イエローの他にも、ネイビー、オレンジ、グリーンなどカラー展開も豊富で、世代問わず使いやすそうですよね。


こちらはアッパー素材に「漁網」をベースに再生した「リサイクルナイロン」を使用したスニーカーです。

スニーカーは人気アイテムで、他にもたくさんのラインナップがあります。

新商品の中には、ブドウの搾りカスを乾燥させて粉末状にして植物オイルと混ぜ合わせ、リサイクルポリエステル製のベース生地に塗って、レザーのような風合いを出したスニーカーも登場しました!



エコアルフが目指しているのは、「日々着るものを環境に配慮されたものに置き換えていくこと」だそうです。デイリーユースができるカジュアルなデザインや素材感が特徴で、キッズ、レディース、メンズを展開し、最近ではレディースのヨガウェアも注目を集めています。


またリサイクル素材や天然素材の使用だけでなく、「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」(第2の地球はないのだからのメッセージ性の強いロゴも特徴の一つです。

BECAUSE Tシャツ ¥5,940(税込)
エコアルフ オンラインショップより

このBECAUSEコレクションのTシャツは、販売価格の10%が海をキレイにする「Upcycling The Oceans」の活動を運営しているエコアルフ財団に寄付されます。


また日本限定商品として、素材のベースに「和紙」を使用したトップスもあり注目されています。

【日本限定企画】
WASHI ニットプルオーバー ¥11,000(税込)
エコアルフ オンラインショップより

和紙は通気性の良さ、軽さ、消臭や抗菌作用があり、独特の柔らかさもあるそうです。 胸元には「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」がプリントされています。


イベントを通じてACT NOW! ファッションから伝える環境問題。

エコアルフのもう1つのコンセプトは、環境に優しい製品を販売するだけではなく「お客様に環境問題を伝えていくこと」と「アクションを起こす切っ掛けとなる 「ACT NOW!」のイベントを開催していくこと」だといいます。

「環境問題は重たい内容もあります。ですがファッションは楽しいものですから、身近なファッションを通して環境問題に楽しく向き合い、アクションを起こせる切っ掛けを作りたいですね」という下川さん。 商品に使われているリサイクル素材のバックグラウンドなどを、イベントや講演活動などを通して伝えているそうです。

また「メーカーや業界の枠を超えて、今後のファッション業界を牽引していける存在を目指している」と下川さん。他業種とコラボレーションしたイベントもたくさん行っているそうで、その一部を教えて頂きました。



■2021年3月8日 国際女性デー・ミモザの日
川崎のラ チッタデッラで開催された国際女性デーイベント「ミモザフェスタ」に参加。エコアルフのサスティナブルファッションショーやトークショーを行いました。

「MIMOSA FESTA 2021」では、シンガーソングライターMiyuuさんのステージも開催されました。



■クリーンアップイベントを開催!

5月30日(ごみゼロの日)、6月5日(環境の日)、9月18日(ワールドクリーンアップデイ)に、エコアルフもクリーンアップイベントを開催!
この写真は、6月5日に エコアルフ、アサヒビール、ミスアースジャパンなど全部で5つの団体が協力し50名以上が参加して、隅田公園と周辺のクリーンアップ活動を行った様子です。 



■「食」とのコラボで、サスティナブルビールを開発!
今年の夏は、アサヒビールとのコラボレーション「蔵前BLACK」も話題になりました。

「蔵前BLACK」は、エコアルフが展開するコーヒー豆のカスを糸の原料にリサイクルした「KATMANDU マルチジャケット」から着想して、アサヒビールとのコラボで開発されたサスティナブルビール。廃棄されていたコーヒー豆をクラフトの原料に使用して、フルーティーな香りとほのかな酸味、ビターチョコレートのような苦味が楽しめるそうです。

「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」のロゴが入ったカップは、ビールを作る時に出る廃棄物、焙煎麦芽粉末を55%使用して製造された、使い捨てしないエコカップです。



このように、「ファッション×食」、他にも音楽やアートなど、他業種とコラボレーションをすることでより多くの方に環境問題を知って頂き、サスティナブルなライフスタイルを日常に気軽に取り入れる切っ掛け作りを行っています。

「エコアルフの服を着てもらうよりも、今日からできる自分の「ACT NOW!」を持ち帰って欲しい!」と考えているそうです。

これらのイベントは、学生やZ世代にも届くように エコアルフ公式Instagram @ecoalf_japan でも発信をしています。


日本のゴミをリサイクルして、三陽商会の技術で服作りをしたい!

エコアルフの商品や啓蒙活動を教えて頂いたところで、今度は私から質問させて頂きました。


――――― 長谷川:本国のスペインやヨーロッパ諸国と比べると、日本はまだまだ環境問題への意識や取り組みに温度差があるのでは?と思いますが、どう感じていますか?

下川:そうですね。日本は環境問題への意識や取組みもまだまだこれからだと思います。だからこそやり甲斐がある仕事と思っています。 商品自体も、現在はグローバル展開している本国からの商品が圧倒的に多く日本製造は少ない状況です。

それと大人の方は、海外の方と服のサイズが大きくは変わらないので受け入れて貰いやすいのですが、今の日本の若者の定番はオーバーサイズです。

三陽商会はコートの生産を得意としている会社です。そこで“魚網をリサイクルして作られたナイロン素材“ で、三陽商会の日本一の技術を使ってオーバーサイズのコートを作り、若い層へのリーチにも成功しました。


また、「日本で出たゴミから日本でリサイクル素材を作り、その素材による商品をグローバル展開をしたい…」という目標もあります。 これには日本のファッション性の高さや三陽商会が持つ服作りの技術の高さから、本国スペイン側も期待しています。


店舗のコンセプトや、宮古島へも展開した理由は?


――――― 長谷川:1号店は渋谷に出店されましたが、どのような意図があったのでしょうか?

下川:理由はいくつかありますが「人が集まりやすい場所」だったからです。「アクセスが良く人が集まりやすい店舗」「毎週のようにACT NOW!のイベントや啓蒙活動が開催できる店舗」が渋谷店の役割でした。

しかしオープン前からコロナの影響があり、人が集まれない状況になってしまい、渋谷店の役割を果たせなくなってしまったことに加えて、二子玉川店の反響が良かったため、渋谷店を閉じて二子玉川店を旗艦店にすることにしました。

エコアルフ二子玉川店


下川:二子玉川店のコンセプトは、その地で生活しているファミリー層をターゲットに、普段は意識しない環境問題に目をむけてもらうことです。店舗の前を通りかかった方が、店頭にディスプレイしているペットボトルに目を引き、入店する。そして、商品1つ1つにある背景を伝えてその価値を理解して購入頂いています。


エコアルフの店舗は出店場所によってコンセプトを変えて展開しています。


下川:今年の7月からは宮古島でも展開を開始しました。宮古島に住んでいる方は海や環境問題への意識が高い方が多く、観光で来られる方の多くも宮古島の綺麗な海や自然を求めて訪れるのだと思います。海や自然環境とライフスタイルを繋ぐ最先端の地であり、エコアルフが海洋ゴミや海洋汚染問題などを発信する場としても相応しい場所です。

今後の店舗展開に関しても、地域の方々と繋がれるような店作りをしていきたいと考えています。

宮古島のほぼ中央に位置してアクセスが良いリゾート施設「LOCAL BASE」内にて展開。



社会問題とファッションというビジネスの両立について聞きました。

「地域の方」や「人との繋がり」を大事にしているエコアルフですが、私がそれをより感じられたのが、「エコアルフを上手く使って欲しい」という下川さんの言葉でした。下川さんご自身のエコアルフに対する思いも聞いてみました。


――――― 長谷川:環境問題という社会問題と、ファッションというビジネス。この2つを両立する難しさはありますか?

下川:このテーマはとても難しいですね。これはスペインやヨーロッパで10年以上の販売実績と社会貢献活動を行ってきて、且つ事業が成功している本国エコアルフの母体があるからできることではありますが、自分の役割としては、創業者のハビエルが伝えたいことを日本で伝えていくこと、エコアルフの環境問題に対する考え方や商品を日本に浸透させていくこと、だと考えています。

立上げから半年間はコロナの影響も大きく、とても厳しい状況でしたが、昨年の下期からは採算ベースに乗っています。取り組んでいる1つ1つが認められ成果に繋がっているのだと思いますし、エコアルフの考えや価値をわかってくれる方、賛同して下さる方が増えている実感もあります。

今後はこれを拡大していくことが、やるべきことだと思っています。今のビジネスモデルが成立できている事を社内外に示していければ、規模も着実に広げていくことができると考えています。


下川:一方で、環境問題への取り組みや、発信をしている個人ブランドやスタートアップ企業もあります。そのようなブランドが直ぐに採算ベースに乗せて、社会貢献を事業とするにはハードルがある事が課題と思います。
エコアルフの役割としては、そのような方たちとタッグを組んで、一緒にイベントやムーブメントを仕掛けて、一緒に成功していければいいなと思っています。

思いがあってやりたいけれど上手く行かない時にも、エコアルフは1つの武器になれる可能性を持っている。私はよく言うのですが、「エコアルフを上手く使って欲しい」と思っています。

例えば素材です。自分たちでリサイクル素材を開発するには資金が必要です。しかしエコアルフが開発したリサイクル素材や生地をコラボレーションして使って頂くことで、コストが抑えられる可能性があります。

海洋ゴミからリサイクルされる原材料から繊維を生成。研究開発には費用が掛かる。


下川:エコアルフが成功することで、関連する他のビジネスも成長する…。エコアルフはファッション業界をリードしていく責任があると感じています。


成功とは? 何をもって成功なのか…?


――――― 長谷川:下川さんが言う成功とはどういう意味でしょうか? リサイクル素材や天然素材がスタンダードになることが成功なのでしょうか?


下川:服に限らず、雑貨や食品も含めて、さまざまなコンテンツには、作られた意義や伝えたいメッセージがあります。それらを「人に伝わる場に出すこと」「伝わっていくこと」も成功の1つだと思います。そしてそれが「ビジネスとして継続していくこと」も成功だと考えています。

エコアルフの場合も、業界としても厳しい状況下で、しかもコロナ禍でスタートして、さらに三陽商会自身も経営再建にむけて邁進している状況です。始めたばかりのブランドは、辞めやすいブランド…でもありますからね。

ですが私は「このブランドは未来のために絶対に必要だ!」と思ってやっています。

エコアルフのコンセプトや取り組みは、5年後、10年後のスタンダードな考え方にならないといけないと思うし、消費者もそういった価値観を持つ未来になっていないといけない。そうじゃないとSDGsは成立しないし、地球は終わってしまうんじゃないか……と思うんです。

ですから、社会意義のあるブランドを辞めてしまうことは、会社経営にも大きな影響があると思っています。 今は立上げ1年目、2年目で大変ですが、1つ1つのイベントや思いのある人たちが繋がっていくこと、継続していくことが成功だと思います。

次の目標は、国内のサスティナブルブランドが集まった物産展やイベントを百貨店で開催したい。実行したらそれも1つの成功かなと思います。


エコアルフを取材して、私が感じたこと。

私自身は、大学の授業を通してアパレル業界が抱える社会問題を知り、これに強く興味を持つようになりました。社会問題を考えるだけではなく、現状を発信していく活動も行っているため、エコアルフブランドを運営する担当者に直接お会いし、インタビューができたことは、とても貴重な経験となりました。


私はこれまで「社会問題の解決と、ファッションというビジネスを両立させることはかなり難しい課題なのではないか…」と感じていました。

相反するこの2つを上手く両立させようとしているエコアルフの取り組み姿勢は、ファッション業界に限らず社会問題を改善しながらビジネスを成立させようとしている他業界にも共通する心持ちであり、多くの業界でこのような姿勢が見られれば、環境問題だけでなく労働問題なども改善していけるのではないかと感じました。

エコアルフを切っ掛けに、共感した人や繋がった人々が将来の担い手となってアクション連鎖を起こしていく未来はきっと来ると思います。

私も今回の取材を通してですが、エコアルフの取り組みに共感した1人です。私もアクションを起こせる一員になれたら…と改めて感じました。


【了】

この記事を書いた人
ファッションが大好きな大学生/ファッションが抱える環境問題や労働問題を勉強中。 ミス明治学院コンテスト2020ファイナリスト、横須賀GEMs project 2021イメージリーダー、ミスキャンパス「キャンパスラボ」メンバー/Cheer! SDGs 2021年度学生編集長 Instagram:@mizuka.hasegawa
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