MotoGPの電動バイククラス MotoEに参戦中! 前を走る #78 大久保光 選手。
Photo by:AJO motor sport
Reporter:大久保 光
Racing Rider/1993年生まれ 東京都小平市出身
アジア・ドリームカップ初代チャンピオン(2012年)、2016年~2020年スーパーバイク世界選手権に参戦。2021年は「Enel MotoE World Cup」にアジア人初のMotoEライダーとしてフル参戦中!
趣味:プラモデル製作(特に戦闘機)・アニメ
Photo by:AJO motor sport, 大久保光
皆様こんにちは。
「MotoE」に参戦しています、大久保光(おおくぼ ひかり)です。
前回の記事は、読んで頂けましたか? 開幕戦前の練習の様子や、MotoEマシンの紹介はコチラ をご覧くださいね。
5月16日の「MotoE」第2戦 フランスラウンドを終えて、スペインとフランスの国境にある小さいな国、アンドラ公国に来ています。山の上の方にはまだ雪が残っていますが4月の滞在時に比べて格段と暖かくなっております。
しかし今回は1人きりなので、少し寂しい気持ちもあります。ですがアンドラ の山々を楽しみながら日々を過ごしています。 読書が好きな私にとって、大自然の中で読む本は、またいつもとは違った気持ちで読むことができています。
もう数日したら、6月6日(日)にカタルーニャラウンドの決勝レースが開催される、カタロニア・サーキットに移動します。
今回は5月2日に行われました「MotoE」開幕戦のスペインラウンドと、5月16日に行われた第2戦のフランスラウンドについて、お話しさせていただこうと思います。
開幕戦は、スペイン・ヘレスサーキットで行われました。ヘレスサーキットは、3月と4月に走行テストを行ったサーキットでもあり、比較的走り慣れているコースです。
レースウイークは、木曜日にサーキット入りをし、この日はバイクには乗らずにコースを歩いたり、チームと打ち合わせをしたりします。金曜日は2回のフリー走行、土曜日は1回のフリー走行とEポール(予選レース)、そして日曜日は決勝レースというスケジュールの流れとなっています。
MotoGPの他のクラスでは、日曜日の決勝レース前に15分ほど朝のフリー走行があるのですが、MotoEクラスはバッテリーの充電時間の関係でフリー走行が無く、またサイティングラップ等もなく、グリッドに着いてそのまま決勝レーススタートとなります。
金曜土曜のフリー走行時間も30分と、他のクラスより10分少ない時間となっております。
金曜日の走行では、3月4月のテストの時に比べて随分とコンディションが変わり、滑りやすい路面に変化していました。理由はわかりませんが、おそらく ”路面温度が高くなった” ことが原因だと考えられます。セットアップを見直し金曜日の走行は終わりました。
土曜日は初の「Eポール」を経験しました。Eポールは各ライダーが1人づつ、”1周のみのタイム計測” を行う「MotoE」の予選方式で、このタイム順で決勝レースのスタートグリットが決定します。 Eポールが初めての私は、テストの時から練習をしていましたが、やはり本番ではまた雰囲気が変わります。
万一コースアウトなどしてしまうと計測が抹消されてしまい、スタートグリッドが後ろになってしまうため、攻めるリミットを超えてはいけません。初めてのEポールは、思った以上にセーブした走りとなってしまい予選は11番手となりました。
日曜日の決勝レース。
スタートは成功し、一時は5番手まで追い上げましたが、自分が思っていた以上にフロントタイヤを酷使してしまい、ラスト3周はペースダウンをしなければなりませんでした。
全部で「8周」の決勝レースなのですが、やはりバッテリーを沢山積んでいるためバイクが250kg以上と非常に重く、タイヤマネージメントをその中で考えなければならないことを、レースを通して学ぶことができました。
第2戦のフランスラウンドは、ル・マン サーキットで行われました。私は過去に1度、ル・マン24時間耐久レースに参戦した経験があり、ル・マンは私にとって好みなサーキットです。
しかし天気は不安定で、雨が降ったり止んだり…という非常に難しいコンディションでのレースウィークとなりました。
走行初日の金曜日は、開幕戦ヘレスでのマシンセッティングをベースにして、セットアップを進めていきました。
土曜日のフリー走行では トップタイムを記録することができ万全の体制でしたが、予選開始直後に雨が降ってきてしまい、急遽「Eポール」が中止となり、12分間の走行時間による ”通常方式での予選”となりました。
これはコースイン、コースアウトを含めて全部で6周する中で、自分のベストラップが決勝レースでのスタートグリッドを決めるものです。
私は電動バイクで雨の中を走るのはもちろん初めて。ミシュランのレインタイヤも初めてだったので、最初の2周は様子を見て走行し、残りの2周でタイムアタックをする作戦を取りました。
作戦はうまくいき、”3番手タイム” を獲得しましたが、私のベストタイムが出た周に、他のセクター区間で ”黄旗”が出ていたらしく、私のベストタイムは抹消され最終的に10番手となりました。
ですがこれは、私がそのセクターを通過した後に後続のライダーが転倒して出た黄旗だったため、私にとっては全くの不可抗力としかいいようがない状況で、私も監督も納得ができず抗議を行いました。
ですが、「黄旗中のラップタイムは無条件で抹消」というMotoGPの今年のレギュレーションがあり、結果が覆ることはありませんでした。
しかし私は、10番手からでも追い上げていく自信が非常にあり、結果は結果。特に気にすることではありませんでした。勿論スタートグリッドは上位の方が良いのですが、なってしまったものはしょうがないので気持ちを切り替えていきました。
日曜日の決勝レースは、ドライコンディションとなりました。
スタートグリッドは4列目でしたが、スタートから1コーナーへのアプローチでとても良いポジションと取ることができ、1周目は3番手で通過し、その勢いで残り2台もかわしてトップに浮上することができました。
しかし、3周目の3コーナーでイン側から来た後方の止まり切れなかったライダーに追突されてしまい転倒。そのままリタイアとなりました。
最終的に、最悪な結果となってしまいましたが、今回できた自分の走りで自分自身に自信を作ることができました。
次戦、6月6日決勝のカタルーニャラウンドでは、自分の走りをしっかり結果に繋げていけるようにしていきます。
引き続き皆様、応援宜しくお願い致します。
MotoEライダー
大久保 光
※編集部追記
第2戦、フランス ル・マン サーキットの「MotoE」決勝レースの大久保光選手の走りが、MotoGP公式Twitterの動画にUPされています。
■後続車に追突され転倒してしまう大久保光選手
始めの映像は、トップを走る大久保選手のマシンに積んだオンボードカメラの映像。#78 黒/ライムグリーン のツナギが大久保選手です
フランスラウンドではリタイアという結果ではありましたが、十分にトップ争いが出来るコトも証明されたレースだったと思います。
アジア人初、日本人初のMotoEライダー、大久保光選手を、当「SPANGSS」も応援しています!!
MotoEライダー・大久保光選手の最新情報は、本人のTwitterをご覧ください。
「MotoEのレース開催スケジュール」「大久保光選手の走行結果」の速報などは、本人のTwitterのほか、MotoGP公式サイト、AJO motor sport公式サイトを参照下さい。
=大久保光 情報=
■大久保光 Twitter https://mobile.twitter.com/hikari_no78
■大久保光 公式HP http://www.hikariokubo78.com/
=所属チーム 情報=
AJO motor sport https://ajo.fi/motoe/team-main/
=2021年 Enel MotoE World Cup 開催日程=
決勝レース日 | グランプリ | サーキット |
5月2日 | スペイン | ヘレス・サーキット・アンヘル・ニエト |
5月16日 | フランス | ル・マン・プガッティ・サーキット |
6月6日 | カタルーニャ | カタロニア・サーキット |
6月27日 | オランダ | TT・サーキット・アッセン |
8月15日 | オーストリア | レッドブル・リンク |
9月18日 | サンマリノ | ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ |
9月19日 | サンマリノ | ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ |
=MotoGP 公式サイト=
https://www.motogp.com/ja
=MotoE マシン/エネルジカ「エゴ コルサ」 公式サイト=
MotoE のレースは、エネルジカというメーカーの「エゴ コルサ」という電動レーサーマシンを使用したワンメイクレースです。
「エゴ コルサ」のマシンスペックもコチラに掲載があります。
https://www.energicamotor.com/motoe/