Photo by:AJO motorsport & Hikari okubo
Interview:近藤スパ太郎
■大久保光選手 を紹介!
大久保 光 (おおくぼ ひかり)
Racing Rider/1993年生まれ 東京都小平市出身
アジア・ドリームカップ初代チャンピオン(2012年) 2016年~2020年スーパーバイク世界選手権に参戦!
2021年に続き、2022年も Team「AVANT Ajo motorsport」から、「Enel MotoE World Cup」にアジア人初のMotoEライダーとしてフル参戦する!
趣味:プラモデル製作(特に戦闘機)・アニメ・カラオケ
「MotoE」は、2019年から開催されている ”電動バイクの世界選手権” のことで、オートバイロードレースの世界選手権シリーズ「MotoGP」の併催レースとして開催されている。 今年は全7戦、全てのレースが2レース制で、全14レース、全18台のエントリー(18人の選手)でタイトルが争われる。
使用するマシンは、全チームが、イタリアの電動バイクメーカー・エネルジカ (Energica)のレーシングマシン「エゴ コルサ(Ego Corsa)」 に、ミシュラン製Ecoタイヤなどを共通して使用するワンメイクレース。(※2023来年シーズンは、ドゥカティが供給する電動レーサーマシンのワンメイクレースとなることが発表されている)
大久保:MotoEマシンの トップスピードは260km/h以上。車重は260kgもあって、レーシングマシンとしてはとても重いんです。この重さの原因はバッテリーです。 シルバーの大きな四角い部分がバッテリーBOXで、バッテリー単体で130kgもあります。 その後ろの金色の丸い物が新型のモーターで、2021年シリーズのよりも少しコンパクト化されて、10kgも軽くなったんです。車重全体としても15kgも軽くなりました。
ーーーーー 市販車の「エゴ コルサ(Ego Corsa)」と違う点はあるんですか?
大久保:市販車には乗った事が無いのですが、市販車をベースに、MotoGPスペックのオーリンズのサスペンションや、ブレンボのブレーキパーツ等がついています。 リヤブレーキは、右足のフットブレーキと、左手のレバーの両方があり、同時に使用することは出来ないんですが、僕はコーナーによって使い分けています。 スロットルを戻す事で回生ブレーキも発生します。手元のスイッチを押すともっと強く回生ブレーキが利くのですが、タイムロスになるので使うことはありません。
ーーーーー エンジンのバイクと比べて、電動ならではの特徴ってあるんですか?
大久保:スロットルを開けると直ぐにパワーになる事ですね。 加速力は開け始めが一番強くて一気にフルパワーになる。 この出力特性はエンジとは全く違うもので、電動バイクの面白い点の1つです。 昨年全日本にスポット参戦した時に、JSB1000のマシンが「遅い……!」と感じたくらいのパワーがあります。
MotoEマシンはシフトチェンジが無いので、全日本でスタートする時にギアを入れ忘れてしまい、空ぶかししてしまった……という 恥ずかしいエピソードもありました(笑)!
それと、走行中の音がとても静か……という点です。 エンジ音でかき消されていた音が良く聞こえ、例えば、タイヤの「キーッ」とか「キュルキュル」というタイヤのグリップ限界を教えてくれるスキール音がずっと聞こえています。 風切り音もよく聞こえて、前後のライダーの位置によって音が変わるんです。 ブレーキパットの音も聞こえますね。
初めて感じる音なので、とても新鮮ですが、真後ろでタイヤが「キュルキュルキュル」って音が聞こえると、グリップを失って、こっちに突っ込んで来るんじゃないか!? と感じる事もあります(笑)
ーーーーー ライダー目線での、MotoEの難しさや面白さって何ですか?
大久保:タイヤ、サスペンション、ブレーキなど様々な部分が各チーム共通のワンメイクで、セットアップがとても重要でシビアです。 車重が重い分、とても繊細なマシン操作が要求されます。 ワンメイクレースですから、各チームのセットアップ能力だけでなく、ライダーの技量やレースの攻略がレース勝敗の鍵を握る点も、MotoEの面白さのひとつだと思います。
エンジンのバイクだと、周回数を重ねる事で、ガソリンの量が減るためマシンは軽くなるんですが、MotoEマシンはスタートからゴールまで車重は変わることはなく、重いまま。 これも面白い点のひとつですし、EVの良い点は、マシンの状態や自分の走りが、全てデータに表れて課題が浮き彫りになります。
そうそう。タイヤがゴミから作られているんです! ペットボトルや木くずを60%も配合した再生タイヤで、通常のレースタイヤとフィーリングが大きく違います。 グリップはするのですが、グリップの仕方、たわみ感、滑り方が大きく違って、この新しい感覚も、MotoEの面白い点のひとつですね。将来、市販車用タイヤに採用される日が来るのかも知れません。
ーーーーー MotoEの見どころは?
大久保:ワンメイクレースで各チーム、各ライダーの条件が同じである事。 音が無いこと。 バッテリーの関係で周回数が7周~8周と少なく、短時間で勝敗が決まる見やすいレースです。 MotoGPの公式チャンネルで見られるので、ぜひ見て頂きたいです。
ーーーーー 今年の大久保選手の意気込みを教えて下さい。
大久保:先ずは、1勝を上げたいです!
MotoE初参戦だった去年は、自分としては不甲斐ない結果に終わりました。 これまで電動バイクには乗った事もなく、どんなトレーニングが有効なのか… 、どのようにバイクを走らせれば良いのか…など考えることが多い1年でした。 レースは2回の転倒を除けば、全てシングルフィニッシュで、目標の優勝には届きませんでしたが、手ごたえは感じています。
今年のレースウイークは、金曜日に練習走行2本、土曜日に予選と決勝、日曜日に決勝と、昨年のスタイルから大きく変わります。 予選もニガテなEポール式から、タイムアタック制に変わる点も、今年は去年以上に、良い走りができると思っていますので、皆様、応援を宜しくお願い致します。
※2021年シーズンの大久保選手によるMotoEマシンの紹介記事はコチラ 。
※MotoEの記事一覧はコチラ をご覧ください。
アジア人初、日本人初のMotoEライダー、大久保光選手を、当「SPANGSS」も応援しています!!
大久保光選手の近況リポートは、今後もこのSPANGSSや、SPANGSS Twitter でも掲載していく予定です。 大久保選手によるリポートも予定していますので、どうぞお楽しみに!
=大久保光 公式情報=
■大久保光 Twitter https://mobile.twitter.com/hikari_no78
■大久保光 公式HP http://www.hikariokubo78.com/
※大久保選手スポンサー一覧は下記に記載
=2022年 所属チーム AJO motorsport 公式=
Twitter https://mobile.twitter.com/Ajo_Motorsport
AJO motor sport https://ajo.fi/motoe/team-main/
=MotoGP 公式サイト=
Twitter https://mobile.twitter.com/MotoGP
公式HP https://www.motogp.com/ja
=エネルジカ MotoE マシン/エゴ コルサ 公式サイト=
2022年のMotoEは、エゴ コルサ のワンメークレースです。マシンスペックはコチラに掲載されています。
https://www.energicamotor.com/motoe/
=2022年 Enel MotoE World Cup 開催日程=
決勝レース日 | グランプリ | サーキット |
4/30・5/1 | スペイン | ヘレス・サーキット・アンヘル・ニエト |
5/14・15 | フランス | ル・マン・プガッティ・サーキット |
5/28・29 | イタリア | ムジェロ・サーキット |
6/25・26 | オランダ | TT・サーキット・アッセン |
7/9・10 | フィンランド | キュミリング・サーキット |
8/20・21 | オーストリア | レッドブル・リンク |
9/3・4 | サンマリノ | ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ |
■2022年 大久保光選手 スポンサー一覧
ajomotorsport
ピーアップワールド
オージーケーカブト
Alpinestars
chcmotojp
Double O glassesgear
Modulo
株式会社定半
ラブテック
ラクーンオート
Lucasmachinery
家具のカミゼン
株式会社渡辺健工
トップウgo
久味
Dolcezza
Limitest
ANDwear
MEGU RACING
※順不同