取材協力:FaW 第12回 ファッションワールド東京秋
Reporter:長谷川瑞佳
明治学院大学卒、ミス明治学院コンテスト2020ファイナリスト、横須賀GEMs project 2021イメージリーダー、ミスキャンパス「キャンパスラボ」メンバー/Cheer! SDGs 学生編集長 などの実績をもつ。
趣味:茶道、展覧会巡り
@mizuka.hasegawa
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日本最大のファッション展示会「FaW ファッションワールド東京」(以下 FaW)。
2021年の「第12回FaW」(10月18日~20日 東京ビッグサイトで開催)では、上質なMade in Japanブランドの新作や、海外ブランドなど420社が出展しました。その中でも、今話題のエコ、エシカル、フェアトレードなどのサスティナブル製品や素材を出展したのは、約200社もありました。
私はライフワークにしている、エシカル、エコ目線でFaWを取材しました。
※他のFawリポート記事 こちら
デニムが大好きな私ですが、デニムが「環境負荷の高い素材」と知ってからは、買うことにためらいを感じる時もあるんです。
ところが、世界最大のデニム生地ブランドの ISKO(イスコ)は、環境に配慮したデニム生地を開発。2021のFaW秋展示会で、イスコの最新テクノロジーを世界初展示、初公開するとの事前情報を入手し、私は「どんなテクノロジー?」と、ワクワクしていました。
会場内には様々なブースがある中で、ISKOはデニム生地の ”原反” を使った垂れ幕がとても目立ち、洗練された印象を受けました。
今回、ISKOの広報を担当する、アイスリーの池田さんにお話を伺いました。
ISKOはトルコに拠点がある最大手のデニム生地のブランドで、なんと ”2万5000種類” ものデニム生地を取り扱っているそうです!
原材料の採取から最終処分に至るまでの環境負荷軽減や、サスティナブルへの取り組みを先進的に行なっていて、「ノルディックスワン (Nordic Swan)」や、 「EUエコラベル (EU Ecolabel)」などの認定を受けていてます。
さらに繊維業界において、環境や労働などの視点からサスティナビリティが認められた製品に付与される認証、ブルーサイン(Bluesign)を、デニムで初めてもらったそうです。
まさに、デニム業界でサスティナブルな取り組みを引っ張っているんです!
アパレルメーカーへ生地を納入している ISKOのブランド名は、一般の方には(私も)馴染みのない名前かも知れませんが、多くのアパレルメーカーでISKOのデニム生地が使用されています。
皆さんも、一本は持っているかもしれません! というのも、「ストレッチデニム」は、ISKOの代表的な素材なのだそう。フィット感があるのに動きやすいデニム素材はまさに革新的で、あの大手アパレルブランドもこの生地を使っている…とのことです。
このストレッチデニムの開発には、テクノロジーの力があってこそです。こういった、独自のテクノロジー開発を強みとしているのも、デニム最大手のISKOの特徴です。
ISKOは、資源の採取から製品の廃棄やリサイクルまでの一連の流れにおける環境負荷をデータ化し評価することができる手法、ライフサイクルアセスメント(LCA)に基づいて、サスティナブルなデニムをはじめとする生地に対して初の環境製品宣言を作成したパイオニアでもあります。
環境負荷を「見える化」して、環境問題への真剣な取り組み姿勢が伺えますよね。
2019年、「廃棄物の削減」と「新たな資源の使用」の両立を目的としたR-TWO™️テクノロジーが発表されました。
R-TWO™️テクノロジーによるサスティナブルなデニム生地には、「再利用コットン」と「リサイクルポリエステル」がミックスされているそうです。色落ち加工はレーザーで軽く表面を焼くことで仕上げているため、水の使用も抑えられます。
今年の2022年から、R-TWO™️テクノロジーはさらに進化し、『R-TWO™️50+』プロジェクトが始動されます!
というのも、これまでのR-TWO™️テクノロジーでは、リユースやリサイクル素材の使用は20%に留まっていました。これは、リユースやリサイクル素材は強度が低く加工やデザインが難しくなってしまうためでした。
しかし、テクノロジーが進化した「R-TWO™️50+」では、なんと ”50%以上” のリユース素材やリサイクル素材を混合させて、デニムに変えてることができるそうです。このプロジェクトによって、二酸化炭素の排出量は最大45%削減。水の使用量も最大65%削減することができるそうです。
私は、デニムは動きにくいイメージがあり、中学生の頃までデニムが嫌いだったのですが、ストレッチデニムを知り、そこからデニムが大好きになりました。(もしかしたら、その時のデニムはISKOの生地だったのかも…)
しかし、大学の授業を通してアパレル業界の環境問題を学び、特にデニムが環境負荷の高い素材であると知ってからは、買うことを躊躇するようになりました。
最近では、水質汚染への配慮やオーガニックコットンなど、環境負荷を低くして作られたデニムをちらほらと見かけますが、デザインや価格に納得できなければ、私は買いません。
ISKOのように、大手のデニム生地メーカーがサスティナビリティに取り組むことで環境負荷の低いデニム生地がたくさん流通し、ライバル生地メーカーも同じように取り組むことが主流となり、私たち消費者が手に取りやすいデザインや価格のアイテムが増えていくのではないかと思います。
また今回、FaW東京を取材して感じたことの一つに、「サスティナブルにテクノロジーは必要である」ということです。
これまではサスティナブルな社会に、「発展や成長は矛盾しているのではないか…」と感じることもあったのですが、テクノロジーを上手く使えれば、資源を再利用しやすくなったり、環境負荷を抑えた繊維を作ることができたりと、”テクノロジーの良い面” を知ることが出来ました。
デニムに限らず、今後いろんな生地が ”テクノロジーの力で新たに生まれ変わること” が、とても楽しみになりました。
【了】