取材協力:CANOÉ / PROSPERE
Reporter:長谷川瑞佳
明治学院大学4年生、ミス明治学院コンテスト2020ファイナリスト、横須賀GEMs project 2021イメージリーダー、ミスキャンパス「キャンパスラボ」メンバー/Cheer! SDGs 学生編集長
趣味:茶道、展覧会巡り
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@mizuka.hasegawa
人生初の ”ファッション展示会”に行った、前回の記事はご覧頂きましたか?
そして今回も、代官山の「NEST EXHIBITION 2022 SS PRE合同展示会」(2021年7月にネストクリエーションラボが主催)で、私が気になったサスティナブルブランドを紹介いたします。
今回紹介するのは、2020年にできたばかりのサスティナブルブランド「CANOÉ (カノエ)」です。
サスティナブルなブランドは、シンプルさや機能性重視が多く、おしゃれ感が二の次になっているな…と思うことがあります。CANOÉ を知らなかった私は、事前に公式インスタグラムを見てみたのですが、おしゃれ感にも拘っているなと感じました。
展示会場で商品を見ると、シンプルで洗練された雰囲気にとても魅了されました。
お洋服だけでなく、天然大豆が原材料の手作りアロマキャンドルも展示されていて、ライフスタイルの提案にも拘っていることが伝わって来ました。(キャンドルも CANOÉ で取り扱っている商品です)
CANOÉ で広報を担当する河上さんにお聞きすると、お洋服作りでは ”メイド・イン・ジャパン” に拘っているそうです。 CANOÉ の強みは、生産から販売までのトレーサビリティがしっかりしていること。 輸入したオーガニックコットンを糸にする段階から、生地の編立、染色加工、パターン、縫製も全て日本で作られているそうです。
CANOÉ の人気商品は、シルクのような肌触りが特徴の「CANOÉ Ultimate Pima Organic Cotton」(カノエ アルティメイト ピマ オーガニックコットン)シリーズの「タイトフィット タンクトップ」だそうです。
白と黒の2色があり、首が少し詰まっているので露出のバランスが今っぽい! 私も黒を着てみたのですが、スカートにも合わせやすく、上品さもあるタンクトップだなと感じました。(あとで私のコーデも紹介します)
この「アルティメイト ピマ オーガニックコットン」シリーズは、アメリカ産のオーガニックコットンが使用されています。「アルティメイト ピマ」とは、繊維長が35mmを超え、綿のカシミヤとも言われる超長綿(ちょうちょうめん)の中でも、わずか0.01%しか取れないとっても貴重な綿花だそうです。
タンクトップの他にも、私が気になる商品が有りましたので少し紹介します。
ゆるっとしたシルエットでこなれ感のある五分袖タイプ。これからの季節に重ね着しても可愛いですね。
ワンピースタイプもあるんです! これもゆるっとしたシルエットが今っぽくて可愛いですよね。ベストを羽織って、ブーツやアクセサリーなどの小物を足すと、かなり大人っぽいおしゃれな雰囲気になりそう!
このシリーズは全部で7型もあり、タイトなデザインからオーバーサイズまで豊富です。どれもベーシックで使いやすく、一年中愛用できるのも嬉しいポイントです!
新作のオーガニックコットンシリーズ、その名も「CANOÉ Organic Cotton Comfy Sweatshirts」(カノエ オーガニックコットン コンフィ スウェットシャツ)も展示されていました。
このシリーズの特徴は スウェット素材を3色の無染色オーガニックコットンのナチュラルカラーで展開し、オフホワイトの生地はトルコ産、ブラウンとトップグレイはアメリカ産を使用しているそうです。
私が気になったアイテムは、ゆるっとしたシルエットのカバーオールです!
脚はゆったりしているのに、足首がしっかりしまっていて可愛いですよね! ウエストマークもしっかりあるので、一枚でキマるアイテムだなと感じました。
このフーディーは肌寒い日の羽織やトップスとしても使えるので、一枚持っておくと何かと使えて便利そうですね!
セットアップでも着られるベストとハーフパンツ。 スウェット素材なのでカッチリしすぎず普段使いしやすそう! 現在オンラインでのみ購入できます。
このオーガニックコットンシリーズの編立は、和歌山の老舗ニッターで行っていて、他にもカーディガンなど全部で7型。どれもおうち時間にも快適そうなゆるっとしたデザインで、着心地も良さそうでした。もちろん、おうちだけでなく、お出かけにも着て行けそうです。
私は「アルティメイトピマ オーガニックコットン」シリーズの、タイトフィットタンクトップを着用しました。
パンツと合わせてクールに着ても良いですが、スカートとの相性も良いなと思ったので、上の写真ではマーメイドスカート、下の写真ではキャミワンピースを合わせてみました! 綺麗めなコーディネートにもフィットするので、美術館にも着ていきました。
「コットンなのにシルクのような肌触りが特徴」と、河上さんから聞いていましたが、本当に肌触りが良くてビックリ。
貴重なアルティメイトピマを100%も使用した糸は、世界的に有名な和歌山のニッターが所有する希少な低速編機 (通常の編み機の約1/2のスピード)を使うことで、糸が空気と一緒に編まれていくので、糸本来の柔らかさを持ったシルクのような光沢と、なめらかな肌触り感を持った生地が生まれるのだそうです。
伸縮性もあり、コットンなのでお手入れも簡単で日常使いがしやすいのも良いなと思います。 そしてサイドに縫い目がなく、タグもついていないため肌に当たって痒くなることもなく、ストレスフリーな点も良いと思いました!
昨年期間限定で展開した、ヘアスタイリストで毛髪診断士の Shucoさん(@shucohair) が監修した ”11種類のヘアバンド”は、SNSでも話題となり大きな反響があったそうです。収益の一部は、医療用ウィッグを子供達へ提供するヘアドネーションのNPO法人「Japan Hair Donation & Charity」通称:JHD&C(ジャーダック)に寄付されました。
環境への配慮だけでなく、多角的に社会貢献を考えて実行していることも、魅力的なブランドですね。
「CANOÉ THE BRAND」設立の背景には、SDGsに取り組むにあたって CANOÉ代表の方がネパールに視察に行き、現地のニット工場との出会いが切っ掛けだったそうです。
ネパールは上質なカシミヤでも知られていますが、アジア最貧国の一つとも言われています。特に女性は識字率が低く、女性の専門職も少ないことから長時間労働を余儀なくされている実態があるそうです。
こうした背景の中で ”社会的ハンデを抱えた女性を優先的に雇用するニット工場” と出会い、そこで働く女性たちを支援したいという思いから、CANOÉが立ち上がったそうです。
ネパールでの生産体制の準備も進めており、ネパールで作られた物やネパールに関連する商品を展開して、経済支援や貧困格差を無くしていくことを目指しているそうです。
サスティナブルブランドが浸透しない理由の一つは、トレンド感やおしゃれ感が足りないからだと私は思います。 私はファッションが好きなので、服へのこだわりが強くあります。服を選ぶときに、おしゃれなデザイン性は大事なポイントの1つです。
もちろん、サスティナブルブランドはトレンドに関係なく、長く使ってもらうことも大切な要素だとは思います。しかし、どれだけ環境に優しく機能性が良くても、自分のスタイルに合わなければ着ません。
CANOÉ の良い点は「シンプルでありながらおしゃれ感もしっかりあるところ」だと思います。 個人的にはもう少し綺麗めなアイテムがもっとあれば嬉しいな…とは思いますが、でも CANOÉ のように、おしゃれにこだわったサスティナブルなアパレルブランドが、もっともっと増えれば良いなと思います。
そしたらきっと、おしゃれが好きだからこそ「アパレル業界が抱える社会問題に自分も取り組みたい…」と思う人が増えて、よりアクションしやすくなるのではないかと思いました。
また植物由来のコットン製品は、環境への負荷が少ないと思われがちですが、実際はそうではありません。コットンの原料である綿花を栽培するには、大量の水が必要です。
UNESCO-IHE によれば、1枚のコットンTシャツが出来上がるまでには、2,720リットルもの水が使われています。さらに一般的な綿花の栽培過程では、“大量の殺虫剤”が使われます。
WWF が独自に算出したデータによれば、綿花の栽培面積は、世界中の耕作地面積のわずか約2.5%しかないにもかかわらず、世界で使用される殺虫剤の約16%を綿花栽培で使っています。これは単一作物の中で最も多く、世界の農薬使用量としては7%というから驚きです。
それに、オーガニックコットンと呼ばれる物は、世界で栽培されているコットンのたった0.7%程しかありません。特にアルティメイトピマは、通常よりも栽培期間が1ヶ月長く、栽培面積あたりの収穫高が低く、世界でもトッププクラスに値する希少な原料だそうです。
視点によってはオーガニックコットンも、一概に環境に優しいとは言い切れないと思います。なぜなら生産することで環境への負荷が少なからずかかってしまうことは、どんな商品でも共通して言えることだからです。
だからこそ私たちにできることが有るんじゃないか…と思いました。
化学繊維よりも植物由来の繊維を選ぶこと。 そしてオーガニック由来の繊維を選ぶことで生産量をもっと増やして、殺虫剤を大量に使用する綿花栽培を減らして行くことが必要と、改めて感じました。
【了】
長谷川瑞佳 「SDGs目線でファッションを取材しました!」シリーズ コチラ