埼玉県の片隅 高山農園からお届け
Reporter:高山正之/1955年山形県生まれ
2020年7月に46年務めた本田技研工業(二輪車広報マン)を65歳で退社。家庭菜園の高山農園主。時々物書き。
Profile Page
2008年に柚子の苗木を植えました。
きっかけは、京料理を得意とする行きつけの日本料理屋さんに、何か自慢できる作物を差し上げたいとの思いでした。
春に ”山椒の木の芽” や ”絹さやえんどう” を持参すると魔法のような料理に変身します。秋から冬にかけて ”柚子” は名脇役として欠かせません。
おいしいものが食べたい一心で植えましたが、実を収穫できたのは7年後の2015年でした。 思惑通り、我が家の柚子は大将の手によってこの世のものとは思えない料理になりました。
さて今年は、夏ころから虫たちにいじめられましたが、先日色づいた柚子を無事収穫することができました。
収穫するときは、準備はもちろんですが、「覚悟」が必要です。 鋭いとげが待ち構えているのです。
では「高山農園」の、今年の柚子の収穫からマーマレード作り、保存用の果皮の千切りや果汁作りを紹介いたします。
柚子の木は、4メートルほどの高さです。脚立に高枝切ばさみとブルーシートを準備。
今年は全部で「250個」ほど収穫しました。 昨年の300個に比べると不作ですが、自家消費には十分すぎる量です。100個はおすそ分けです。
高枝切ばさみで狙いを定めて一個一個の収穫です。手が届くところは “剪定ばさみ” を使います。250個を2時間くらいで収穫しました。
高枝切ばさみでうまくキャッチした状態。
柚子の長~い棘がこれです。 鳥から守るためでしょうか? 収穫するときは私も危険にさらされます。
マーマレードに使用する60個の柚子。
柚子を半分にカットして、果汁を絞った後に種と中身を捨てます。 果皮は千切りにします。
左上が果皮の千切り、下が果汁です。3時間黙々と単純作業を続けます。
寸胴鍋に、千切りした果皮と果汁、そしてグラニュー糖を混ぜて煮込みます。
煮込むとトロトロになってきます。
ペクチンの関係で冷めると固くなるので、”少しゆるい状態” で煮込みを終了します。
煮沸消毒した瓶に詰めて完了です。 軽く1年は持つ保存食ですね。
ここからは、保存用の果皮千切りと果汁絞りです。
柚子を半分にカットして、果汁を絞った後に種と中身を捨て、果皮を千切りにする工程はマーマレードと同じです。
75個の柚子を臭そうに見つめる1歳半の雄猫チャイ君。 この時期は、猫にとっては苦手な ”柑橘系の匂い” が家中にまん延。 猫にはたまりません…。
75個を手しぼりします。しぼり器は、ガラス製のオーソドックスなものです。 この絞り器では、柚子2個で一杯になりますので、その都度ボールに移します。
果皮は千切りします。うどんとか、おでんとか何にでも使えます。
75個から果皮と果汁、ジプロックにそれぞれ6パックくらい作れました。 果皮と果汁は冷凍庫で保存します。1年中柚子の風味を楽しめます。
今年は新たに柚子の果皮を天日干しにしました。 乾くと保存しやすくなります。お風呂に浮かべるとほのかに香り、1年くらいは使えそうです。
【柚子の主な生産地を調べてみました!】
農林水産省によりますと、少し古いデータですが、2016年のゆずの国内生産量は、2万6000トン、都道府県別では1位が高知県1万4051トン(シェア54%)、2位が徳島県3601トン(14%)、3位が愛媛県2967トン(11%)となっています。 柑橘系ですから、四国など温暖な地域での栽培が盛んです。
北限は岩手県陸前高田市、大船渡市で2.7トン生産されています。
関東では「ツインリンクもてぎ」がある栃木県茂木町や、埼玉県の越生町などが有名ですね。
ちなみに、埼玉の我が「高山農園」は、今年は250個で約25キログラム(1個当たり100グラム)の収穫でした。
苗木を植えてから多くの果実を収穫できるまでは、少なくても7年程度はかかるようですから、その間は我慢が必要です。
【了】