Photo by:近藤スパ太郎・OpenStreet
Reporter:近藤スパ太郎 Profile Page
埼玉生まれ埼玉育ち。現在東京に居住するも本籍は埼玉県。環境問題をテーマにした番組パーソナリティを担当して以来、電動バイク追っかけタレントとして電動モビリティも追っかけている。
※この記事はまじめに「新モビリティ」や「サービスを展開する事業者の取り組み」を紹介するものですが、埼玉県人である近藤スパ太郎の個人的な解釈が含まれています。目くじらを立てずに楽しんで読んで下さると幸いです。
どっちが田舎でどっちが都会か。観光名所の数や知名度。都道府県魅力度ランキングの順位……などなど、何かにつけ「埼玉vs千葉」を意識してしまう両県民。 東京に虐げられる埼玉県民の姿を描いて大ヒットした’19年の映画「翔んで埼玉」でも、両県民は対立する。
生まれも育ちも本籍も埼玉県人であるボクは、新タイプのマイクロ電動モビリティを巡っても、千葉との争いが勃発するらしい…⁉ と噂を聞き、その記者発表の会場に潜入した!
時は2024年1月24日。
ソフトバンク本社がある港区竹橋の東京ポートシティ竹芝の一角で「さいたま市」と「千葉市」の職員が直接対峙した!
……あれ? フォトセッションは皆さん笑顔?
いやいや、心の中ではバチバチです。きっと……。 なにしろ両市はどちらも両県の大都市であり、県庁所在地でもありますから。
こうして新モビリティの普及に於いても、両県民の威信を掛けた 新たな争いの火ぶたが切られたのである!
全国7400ヵ所、もうすぐ累計会員数300万人を突破する、国内最大規模のシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を展開するOpenStreet社(本社:東京都港区/代表取締役社長CEO 工藤智彰)は、1月30日から座って乗るタイプのフル電動モビリティ「電動サイクル」(特定原付)を導入することを発表した。
OpenStreetはソフトバンクの社内ベンチャーとして、2016年11月に設立された企業だ。
「電動サイクル」は、2023年7月1日に施行された改正道路交通法によって生まれた車両の新区分「特定小型原動機付自転車 (以下、特定原付)」に分類される新モビリティで、今話題の「電動キックボード」と同じカテゴリである。運転免許を必要とせず16歳以上なら運転する事ができる。
特定原付は、ラストワンマイルの課題を解決する新しいモビリティとなるか、今後どういった利用が可能なのか、今最も注目されている乗り物である。
この半年の間で、早くも座って乗れるタイプの特定原付は登場しているが、シェアリングへの導入は国内初。2024年中に首都圏エリアでおよそ3000台の「電動サイクル」を投入予定だ。
先ずは「さいたま市」と「千葉市」内で展開する「HELLO CYCLING」の自転車用の既存ポートに導入される。
料金は15分200円、12時間4,000円で利用できる。
「電動サイクル」は、電動モビリティの開発販売を行う和歌山県に拠点がある glafit社 と共同開発され、昨年のジャパンモビリティショーでもお披露目された車両でもある。発売時期は現時点では未公表定だが、早ければ’24年春ごろには glafitからの一般向け販売が予定されている。
特定原付で主流の「電動キックボード」は立ち乗りの乗車姿勢で、タイヤが5~8インチと小さく道路のちょっとした段差や小石などでもハンドルを取られやすい。
「電動サイクル」はタイヤが14インチと大きく路面に凹凸があっても走行安定性が高い。座って乗るため乗車時の重心が低く自転車に慣れた方なら違和感なく運転できる。ペダルは足置き用で漕ぐことは出来ず、スロットルの操作で ”フル電動”で走行し、最大航続距離は40kmと移動可能距離が長い。
モーター出力は500Wあり、勾配29%の急坂も走れる登坂性能を持つ。前後にディスクブレーキを搭載してブレーキ性能も高い。
走行モードは2つあり、走行できる場所はモードによって異なる。
①車道モード: グリーンの最高速度表示灯が ”常時点灯” する。走行できる場所は「車道の左側」と「自転車道」で、最高速度は20km/h。
②歩道走行可能モード: グリーンの最高速度表示灯が ”点滅”する「歩道走行可能モード」。最高速度6km/hの「”特例”特定原付」として、「自転車走行可能」な道路標識がある歩道や、「道路左側の路側帯(歩行者用路側帯を除く)」を通行することができる。但し、歩道を通行するときは「歩道の中央から車道寄りの部分又は普通自転車通行指定部分を通行」しなければならない。
「特定原付」には、右折時は二段階右折、一方通行の逆走禁止(自転車走行可の場合を除く)などの独自の交通ルールがある。「電動サイクル」を借りるには「HELLO CYCLING」のアプアプリ内にある、12問のテストに合格することでレンタルが可能になる。
「特定原付」の道路交通法は「HELLO CYCLING」HP内で確認や勉強することも可能。
→ 詳しくはこの後の「「電動サイクル」どうやって借りるの?」で解説します。
※「電動サイクル」の車両紹介の詳しいリポートは、こちらに記載
『16歳以下免許不要の「電動サイクル」プチインプレ!| HELLO CYCLINGで特定原付のシェアリングサービスが始まった!』
写真は「電動サイクル」のサイクルステーションのイメージ。「HELLO CYCLING」が展開する既存のシェアサイクル用の駐輪ラックがそのまま活用できるため、今後急速に導入が加速しそうだ。 全国に先駆けて行政として導入をする「さいたま市」「千葉市」の計画を比較してみた!
これまで「さいたま市」は、2018年からシェアサイクルのステーションを配置し、現在も「電動アシスト自転車」「EVスクーター」「EVカー」などを利用したマルチモビリティのサブスクを展開している。更に鉄道会社や高速バスとも連携したシェアサイクルも行うなど交通インフラの利便性を強化するなど、”スマートシティ化プロジェクト” を進めている。 EVのマルチ活用という点では千葉市を少しリードしている。
「電動サイクル」の活用も ”スマートシティ化プロジェクト”の一環として2月1日からスタート。先ずは大宮地区の5か所のステーションに、5台の導入から開始し、3月中に浦和駅周辺、5月中に大宮駅周辺にもステーションを拡大し、5月までに100台の導入を計画している。
なんたってさいたま市には、我が埼玉県民の自慢のひとつ、新幹線6線と在来線7線が乗り入れる巨大ターミナルの大宮駅がある。 千葉県には新幹線が通っていませんからね。 一方で、関東平野のほぼど真ん中で、映画「翔んで埼玉」でも、なーーーんにもないと描かれている。(これは事実)
「電動サイクル」の運転の楽しさは、きっと埼玉県民には ”楽しいレジャー”としても受け入れらるに違いない! と、埼玉県人のボクは勝手に期待している。
対する千葉市には ”海” や ”砂浜”という、埼玉県民の憧れがある。
特に幕張地区には、プロ野球球団・千葉ロッテマリーンズの本拠地「マリンスタジアム」や、国際的なイベントが開催されるコンベンションホール「幕張メッセ」もあり、巨大なイオンタウンやコストコなどの商業施設などが多数あり、外部からの人の流入も多い。
千葉市では2018年からシェアサイクル、19年からは早くも「電動キックボード」を活用した実証実験を行っていた。だが駅から目的地への単純往復が主で、回遊性がみられない事が課題でもあった。「電動サイクル」の導入で回遊性の向上や賑わいの創出を目指している。
千葉市は、さいたま市よりも2日早い「1月30日」からスタート。 これはたった2日であっても埼玉には負けたくないという 千葉の意地の表れであろうか?
幕張エリアを中心に14ヵ所20台の「電動サイクル」のシェアリングを開始! 更に3月までに200台、2025年3月までにはステーションを500カ所、600台の導入を計画している! と発表された。
PS,「展開スピードが早い」
……と、こうして記事を書いている間に、「2月1日に千葉市のステーションを急遽21ヵ所増やして、全部で35ヵ所になりました」と、OpenStreetの「HELLO CYCLING」担当者から連絡が来た。 と言うのも、ステーションの駐輪ラックが自転車と共用のため、返却時に空きが無くて返却できな事象が生じ、急遽対応したのだと言う。
つまり、既に沢山ある自転車用ステーションに「電動サイクル」のポップを貼り、アプリ側でも対応すればステーションは簡単に増やせてしまうのだ。これはスゴイね!
さて、両市を比較すると千葉市の方が初動加速の勢いがあるが、あくまでも現時点でのこと。 今後の両市の取り組みに注目したい。
シェアリングサービス利用には「HELLO CYCLING」のアプリが必要。 車両には通信機能が付いたスマートロックを搭載し、車両の予約、貸し出し時の車両ロック解除、貸出中の施錠や解除、車両の利用時間管理、返却時も全てアプリで操作で行うのだ。
「電動サイクル」を借りる場合は、16歳以上であることの証明書(マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど)、決済の為のクレジットカードを登録する。また事前にアプリ内にある計12問の、特定原付に関する交通ルールテストに合格する必要がある。
「HELLO CYCLING」のHP内で、誰でも特定原付の交通ルールの確認や、テストの事前勉強が可能。どこを走れば良いのか、右左折はどうするのか、侵入禁止場所など、交通ルールは必ず事前に確認したい。
■「HELLO CYCLING」HP内 特定小型原動機付自転車(特定小型原付)に関する交通ルール
https://www.hellocycling.jp/traffic-rules/electricbike/
そして、アプリ内でステーションの場所も分かり、レンタル可能な車両の空きの有無、その車両のバッテリー残量、走行可能距離も確認することができ、車両を予約する事も可能だ。予約の有効時間は30分で、この間は料金が発生しないのは有難い。 もちろん、ポートに行って空き車両があれば、その場で車両のQRコード読み込んで直ぐに借りる事もできる。
■参考:HELLO CYCLING「電動アシスト自転車」と「電動サイクル」の料金
電動アシスト自転車:30分130円、延⻑100円/15分、1800円/12時間
電動サイクル:15分毎200円、12時間 4000
「電動サイクル」は、
・漕がなくて良いフル電動
・最高速20km/hで移動できる
・航続距離が長い(最大40km)
と自転車よりも移動が楽で航続距離が長く、広い移動範囲もカバーでき、利用目的によって自転車との使い分けが出来そうだ。
昨年7月以降、急速に普及が進んできた特定原付の「電動キックボード」は、信号無視、逆走、キケンな歩道走行など、利用者のモラルが社会問題にもなっている。
「電動サイクル」の場合は、事前の交通ルールテストを利用時に遵守していれば、違反や危険走行にはならないのだが、「あれ?」と忘れてしまうこともあるだろう。
HELLO CYCLINGでは、オリジナル冊子「交通安全ガイドブック」の配布や、先程紹介したHELLO CYCLING HP内(リンク) でも、いつでも交通ルールの確認や勉強ができる。
それでもルールを守らない人がいる場合は…?
「エッジAIによる画像解析を行い、走行レーンを判別する実験をパートナー企業と進めています」と工藤社長の談。つまり、走行シーンをリアルタイムに画像解析することで、違反や危険走行を検知して、遠隔操作で車両を停止させてしまうことができる技術だという。更に違反者はアプリ利用ができなくなったり、悪質な場合は警察との連携も技術的には可能という。
さすが日本を代表する大手IT企業、ソフトバンク傘下のOpenStreet社である。
今後の利用に当たり、ルール違反やマナー違反が多ければ、当然のことながら特定原付を取り巻く環境が厳しくなるのは必至であろう。事実ヨーロッパなど諸外国では、電動キックボードが禁止になった国もある。便利で移動が楽しい新モビリティが普及するか否かは、利用者のモラル意識も重要である。
全国に先駆けて「電動サイクル」が導入される「埼玉県」「千葉県」の皆さんには、単に車両導入数やステーション数を争うだけでなく「利用者のマナー意識の高さ」でも競って、日本のモラル意識をけん引する存在になって欲しいな……と、ボク個人的には願っている。
試乗してみると、移動が楽しくなる車両でボクも直ぐにアプリを登録した!
■「電動サイクル」の車両紹介やプチインプレ記事
『16歳以下免許不要の「電動サイクル」プチインプレ!| HELLO CYCLINGで特定原付のシェアリングサービスが始まった!』
【関連リンク】
■「電動サイクル」千葉市 さいたま市導入公式リリース
https://www.hellocycling.jp/info/news/2024/01/24/1756/
■北海道から沖縄まで 全国でシェアリングサービス展開中!
「HELLO CYCLING」公式HP こちら
https://www.hellocycling.jp/