高山農園収穫/八頭のクキ=ずいき
Reporter:高山正之/1955年山形県生まれ
2020年7月に46年務めた本田技研工業(二輪車広報マン)を65歳で退社。家庭菜園の高山農園主。時々物書き。
Profile Page
小生が生まれたのは、山形県庄内地方の米どころです。稲作農家で、周りは見渡す限りの田んぼ。家の裏手には大きな畑がありました。
子供の頃から田んぼで、米作りの手伝いで泥まみれになっていました。 暑さと寒さに雨や風にさらされて、楽しい記憶はあまりありません…。
高校卒業後は、縁あって本田技研工業に就職し、埼玉製作所で社会人のスタートを切りました。農業とは全く縁のない製造業です。
40歳の時に埼玉県のはずれに引っ越しました。周りは雑木林が多く自然に恵まれた環境です。
ある日、都会育ちの妻が散歩の途中で「畑で野菜を育てたい」と言い出したのです。
散歩道の周囲には、家庭菜園のような畑が多く見られました。畑仕事をしている人に尋ねますと、「もう空いている畑は無いと思うよ。地主さんに聞いてみたら」と、アドバイスしてくれましたので、早速地主さんを訪ねました。
「残念だけど全部貸しているからごめんね。 そうそう、1か所だけあるわ。でも藪のようなところだからおすすめできないね。もし耕す気があればやってみれば?」
「はい。では早速耕してみます。ありがとうございます」
こんな感じで即決。
ちょうどゴールデンウイークでしたので、ホームセンターで鍬とか鎌や長靴などを調達して、いざ藪地へ向かいました。
以前はお茶畑だったのですが、長い間放置されていたので、笹竹が生い茂っていました。
この笹竹の根っこを取るには、50センチほど掘らなければなりません。夫婦で鍬で掘り起こしながら、まさに「開墾事業」がスタートしました。半日かけて畳2帖くらいしか進みません。ゴールデンウイークをすべて使い、ようやく5坪程度の畑になりました。
身体はボロボロでしたが、植え付けたトマトやきゅうりがすくすく成長している様子をみると、にんまりしてしまいます。
今では、30坪(約100m2)ほどに拡張し、柚子の木や梅の木も立派に育ちました。妻の一言から始まった「高山農園」は有機農法にこだわり25年目を迎えました。
今日も虫たちがおいしく野菜をかじっています。時折”狸”も畑の様子を見に来ます。
こんな埼玉県の片隅にある、高山農園の出来事を綴っていきたいと思います。
庄内地方のお雑煮は、丸い餅と、八頭(やつがしら)の茎(ずいき)に、厚揚げがメインです。一般的な里芋の茎では”深みのある味”が出せません。
この「ずいき」を自分の手で作ろうと思い立ち、数年前から植え付けています。
乾燥させた「ずいき」は、スーパーではまず手に入りません。たまに見つけると、海外産の里芋の茎だったりと、日本ではますます存在が薄くなりそうな食材です。
今年は豊作で今から正月が楽しみです。
家からバイクで2分。「高山農園」の作業に欠かせないのが、ホンダのスクーター・リード(110)です。
フロアには20リットルと10リットルのポリタンクに水を入れて運びます。前かごをつけると、もっと積載力が増えますよ。
リアキャリアに鍬を差し込んで運べます。シート下のメットインスペースには、4リットルのじょうろ、鎌やハサミ、肥料などが入ります。
会社員時代はこのリードで、アタッシェケースやレインスーツなどを入れて通勤していました。ビジネスに、農作業に、趣味に活躍する相棒です。