Report:「えほんわーるど」主宰/斎藤達章
中央大学 商学部経営学科4年生。中央大学公認部会「児童文学研究会イーハトーヴ」代表。2022年4月に YouTubeで絵本動画作品を配信する「えほんわーるど」チャンネル を開設する。好きな児童文学作品はハリー・ポッター(中世ヨーロッパのあの世界観が大好き!)。
4月下旬に初公開したYouTubeチャンネル「えほんわーるど」は、これまで10作品以上を動画公開してきました。 ”動画”とはいっても、これまではキャラクターに動きがない ”紙芝居形式”の手法が中心でした。もちろん、この”紙芝居形式” も好評ではあるのですが、「キャラクターに動きを取り入れた動画を制作してみたい…」とずっと思っていたので、今回紹介する「赤ずきんちゃん」作品で初挑戦してみました。
動画編集歴2年半。まだまだ編集初心者の僕にとっては大変な作業でしたが、キャラクターが動いて紙芝居の表現を飛び越え、とても ”画期的!” と感じています。 これからも様々な表現方法に挑戦していきたい! と決意を新たにしているところです。
さて今回は、僕のような動画編集初心者さんに役に立ちそうな情報を紹介しながら、静止画で納品されたキャラクターを動かす方法を紹介したいと思います。
これまでイラストレーターさんには、「背景とキャラクターが一体化した ”一枚絵”」での納品をお願いしていたのですが、今回は「背景」と「キャラクター」を分離して納品して貰いました。 分離することで編集時に「背景」の上で「キャラクター」を自由に動かすことが可能なのです。
そして編集ソフトも、これまで使用していた、Adobeの「Premiere Pro」に加えて、動きのあるカットのみ Adobe「After Effects」という初めてのソフトを使用しました。
ところが、初挑戦のソフトに最初は悪戦苦闘。 操作方法が全く理解できず、結局 下記のようにキャラクターが登場するだけのシンプルなシーンでは、マイクロソフトの「Power Point」を活用しました。「パワポ」はプレゼンテーション用のソフトとして非常に有名ですが、実は簡単なアニメーションの編集をすることも可能なのです。
■マイクロソフト「Power Point」を活用したシーン
↑この画の右側から、赤ずきんちゃんのお母さんを登場させます。
動きを伴いながらお母さんが登場しました。
ところが、「Power Point」では、直ぐに編集の限界が来ました……。
例えば下記のオオカミが登場するシーンでは、オオカミのイラストを変形させたり回転させたりして、オオカミに動きつけたかったのですが、Power Pointではそれが出来ない。 やっぱりAdobe「After Effects」を勉強しなくては…。
そこで調べてみたら、なんとYouTubeに 「【超初心者向け】はじめてのAfter Effects。簡単なアニメーション作成の流れ」という動画があり、とてもわかり易く解説をしていたのです。
この動画を最後まで一度視聴したのち、改めて視聴しながら「After Effects」を操作してみると、すんなりと操作することができました。
そして作ったのが下記の「オオカミがジャンプするシーン」。 オオカミのイラストを「After Effects」で加工することができました!
■Adobe「After Effects」を活用したシーン
※実際の動きは 動画でご覧ください
そして「After Effects」で編集した動画は「Premiere Pro」で繋げました。
この画面は動画が完成し、あとは「Premiere Pro」での動画書き出しのみを残した最終段階の画面です。
※実際の動きは、ぜひ動画でご覧ください
■外国の童話「赤ずきんちゃん」
如何ですか?
こんな風に仕上がりました。
今後はこのソフトをもっと使いこなして、そしてこれからも「絵本」という世界を軸に様々な表現方法にチャレンジしていきます!
それでは最後に、今回制作にご協力いただいた方々からのコメントを紹介させて頂きます。
■イラスト制作:イラストレーター darknessinhappyさん
子供の頃から知っている物語という事もあり、作品の世界観を大切にしつつ動画観賞してくれる方達に、親しみやすく分かりやすいイラスト作りを心掛けました。オオカミは悪役なので、いかつい感じにしました。そして完成した動画はアニメーション風になっていて、静止画であるイラストがとても生き生きと動いていて、こんな風に動くんだな…と嬉しく思いました。セリフや演技が素敵で面白く、とても楽しく観賞させていただきました。たくさんの人達の手が加わり、たくさんの人達の繋がりにより、一つの作品が出来ているので、その努力や技術、才能に感動しました。
■ナレーション:穂積知佳さん/声優
えほんわーるど作品では『日本に帰化した男・小泉八雲』『赤ずきんちゃん』でもナレーションを担当しております。比較的平易な言葉づかいが多いとはいえ、ニュアンスを調整して主題をいかに分かりやすく伝えるか考えながら取り組んでおります。どのようなイラストがつくのか、人物の演技はどうなっているのか、完成が毎回楽しみです。早くコロナが落ち着いて、みなさんと一緒に収録ができたらいいですね。
■赤ずきんちゃん役:れい さん/中央大学児童文学研究会イーハトーヴ
「赤ずきんちゃん」は子供のころ好きだったお話です。セリフの速さや抑揚の付け方といった個人的な課題は残りましたが、親しみを感じながら楽しく声を当てられました!
〈斎藤より〉主人公の赤ずきんちゃん役は、中央大学児童文学研究会イーハトーヴの現役大学生が演じました!
中央大学児童文学研究会イーハトーヴの活動風景がまとめられた記事はこちらご覧ください!
■赤ずきんちゃんのお母さん役:友住吉良さん/声優
赤ずきんちゃんと仲の良い親子の雰囲気が出ていたら嬉しいです。動画はまるでゲーム世界のようで面白かったです。特にオオカミさんが良い味出てますね!
■オオカミ役:鈴木臨之介さん/声優・ラジオパーソナリティー
私はディレクター斎藤さんの思いを聞いてイメージを具現化できるよう、お芝居作りをしているだけです。1人で収録したので相手役がどんなお芝居で来るのかわからず少し苦労もしました。体型がしっかりされてるオオカミのイラストで驚きました。子供向けということですが、食べたり、脅かしたり、恐い表現の多いオオカミなのでそこは手を抜かず全力で臨みました。感性の鋭いお子さん程こういった細かいことに違和感を覚えたり、「嘘」と見抜かれ楽しんで物語に入り込めなくなってしまうことも多々ありますので、子供騙しに走らないよう気を付けました。最後は石を詰められ重くなった体で川に落ちてしまいましたね。悪いことしちゃダメですよ。あ! 石を詰めるのもやっちゃダメです!
■猟師役:近藤スパ太郎さん/タレント・SPANGSS運営スタッフ
SPANGSSで「えほんわーるど」を取材した際に、ボクも収録に参加させて頂きました(その記事)。収録時は画が無かったのですが、作品を観るとボクの役「猟師」は背中で語っているな…と(笑)。オオカミの姿はとても斬新ですね! ボク的には赤ずきんちゃんの画がとても可愛く、お気に入りです。
〈斎藤より〉
才能溢れるクリエイターの皆さんにご協力いただき、動画編集の苦労の甲斐もあって完成した外国の童話「赤ずきんちゃん」。
ぜひご鑑賞ください。
【了】