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”ずいき” で作る山形流の雑煮が旨い! お節料理にも畑の収穫物が欠かせない!|高山農園日誌(第5回)

秋に収穫した八頭のクキ=ずいき。 いよいよ「お雑煮」に入れて山形の味を美味しくいただきます!


埼玉県の片隅 の家庭菜園からお届け
Reporter:高山正之/1955年山形県生まれ
2020年7月に46年務めた本田技研工業(二輪車広報マン)を65歳で退社。家庭菜園の高山農園主。時々物書き。
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高山農園日誌 ~おいしいものが食べたい~ (第5回)


お雑煮とお節料理で味わう農園の味。先ずは”庄内地方流”のお雑煮作りを紹介!

毎年の恒例行事。我が高山家の正月の ”お雑煮”と ”お節料理”には、農園で採れた作物が欠かせません。 収穫した時と新年にも、農園で収穫した喜びを味わえるのです。その一端を紹介いたします。


”お雑煮”は、秋に収穫した八頭(やつがしら)の茎を干した ”ずいき”をふんだんに使い、かみさんが私の出身である、山形県庄内地方の味を再現してくれます。

※山形の味を再現する「八頭の収穫」と「ずいき」については、高山農園日誌の第1回をご参照ください。https://spangss.com/archives/799

”ずいき”を干している様子 

収穫した八頭のクキ(ずいき)は、ベランダでカラカラになるまで干します。

天日干しして乾燥させた”ずいき”は、冷蔵庫で保存していました。

”ずいき” を真水に浸して戻します。紫がかったあくが出てきますので、2~3度水を取り替えて1晩おいた後に、約30分煮込みます。

水分をきってから、軽く油をひいて炒めたあとに、水、煮干しの出汁、酒、みりんと醤油で味付けします。この写真では、まだ味付けはしていません。

主役の餅は、庄内地方では丸餅です。米どころの餅ですから、とても美味しくいただけます。 これは山形の庄内地方で栽培された特別栽培米「でわのもち」を使用した「竹原田ファーム」の丸餅です。埼玉では有名な「サイボク」で毎年買っていますが、農場の直販サイトも有ります。

こだわりのお餅作り「竹原田ファーム」 直販サイトはコチラ


子供の頃は、家で餅つきをした後に、一家総出で餅を丸めていました。丸餅は見た目も大事ですから、器用な人と不器用な人では、出来上がりに大きな差がつきます。子供の小さな手では難しかった記憶があります。


庄内地方流の ”お雑煮”が完成しました!

これが庄内地方流のお雑煮で、”ずいき”をたっぷりと入れます。 餅よりも存在感がありますね。他に、厚揚げと三つ葉、そして畑で収穫した ”柚子”を上品にあしらいます。見た目はきれいとは言えませんが、食べると病みつきになりますよ。

庄内地方では、厚揚げを「油揚げ」と呼びます。通常の油揚げは、「油揚げの皮」と呼び区別します。
東京育ちのかみさんから買い物を頼まれて、混乱したことがありました。


こちらは東京流の”お雑煮”。

我が家のお雑煮は、”東京編”もあります。餅は”山形の丸餅”を使っていますが、鶏肉とかまぼこ、しいたけ、三つ葉、畑で収穫した”柚子”をあしらっています。 庄内流も東京編も、どちらも甲乙つけがたいおいしさです。

お節料理でも、畑の収穫を美味しくいただきます!

お節料理に使う畑の作物です。

柚子
かぶ
八頭(茎は”ずいき”として活用)


そして高山農園の収穫物ではありませんが、我が家で作っている物です。

干し柿

干し柿は、山梨県の甲州百目をベランダで30日干しました。
自宅で作れる「美味しい干し柿の作り方」は、高山農園日誌の第4回を参照下さい。
https://spangss.com/archives/1419

梅干し作りの”梅酢”をお節に使います。

和歌山の”南高梅”と、埼玉の”赤紫蘇”を取り寄せて、ベランダで梅干しの仕込みもしていました。これは天日干しの様子です。


これらを”お節料理”に取り入れます。

各お重に取り入れた畑の作物を解説します。

三の重(左上のお重): 畑で採れた”八頭”(やつがしら)の煮物。 右上は、八頭の角切りとクリームチーズ、明太子をあえたものです。

二の重(右上のお重): 高山農園の収穫で一番立派な”柚子”(昨年の収穫は約250個)にいくらを入れています。柚子の左は花びら細工の”かぶ”で、柚子風味にしています。左上は”柚子皮”とスモークサーモン、玉ねぎで押し寿司風に仕上げています。赤いレンコンは、梅干し作りの時にできる ”梅酢”で漬けたものです。

一の重(下のお重): 左側に ”干し柿” を添えました。


そして山形県庄内地方では一般的な「きんぴらごぼう」も取り入れています。

高山家のお節料理は、年々作る量を少なくしていますが、日本酒にとても合う味付けになっているのです。ですが、お節料理を作るのは、99%がかみさんの領域で、私は洗い物の手伝い程度です…。


映画「武士の一分」に登場するのは「ずいき」に違いない…。

2006年に藤沢周平氏の小説を映画化した「武士の一分」は、木村拓哉さんの主演で話題を呼びました。舞台は海坂藩という架空の藩の設定ですが、風景や言葉遣いから今の「山形県鶴岡市」あたりになります。

映画の終盤に、檀れいさんが視力を失った木村拓哉さんに「芋がら(茎)の煮物」を渡すシーンがあります。とても重要なシーンに登場するこの煮物は、庄内地方で広く食べられている ”ずいき”に違いないと思います。

映画では、具体的な芋の種類まで解説していませんが、”庄内地方”で育った人たちにとっては、”ずいき”しか考えられません。 この映画を見る機会がありましたら、”芋がらの煮物” にも注目していただければと思います。

「餅の形」と「お雑煮」について調べてみました!

農林水産庁のホームページを見ますと、餅の形は日本の東側と西側で形が異なり、おおよその境目は岐阜県の関ケ原付近になるとのことです。

東京などの東側は角餅。大阪などの西側は丸餅の文化だそうです。

例外もありますが、山形県庄内地方もその一つです。江戸時代に北前船で京都など関西圏と深い交流がありましたので、その影響が色濃く反映されているようです。

なお、お雑煮については約100種類もあるとのこと。具材や汁などを詳細に分けるとそれ以上になるようです。東側の角餅圏の汁は、すまし汁が一般的とのことですが、農林水産庁のホームページでも山形県は例外とされています。

食文化の違う夫婦が、お雑煮で揉めることがあると聞きましたが、一つに固執しないで、他の食文化にも理解する必要がありますね。


【了】

連載高山農園日誌 ~おいしいものが食べたい~」アーカイブはコチラ
https://spangss.com/archives/tag/takayamafarm

この記事を書いた人
◇高山農園主・時々物書き ◇ 山形県 現庄内町生まれ ◇ 1994年 埼玉県で高山農園をスタート ◇ 2020年 65歳で本田技研工業(二輪車広報マン)を退社
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